コラム凡語:首相に何が起こったか

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 「少女に何が起(おこ)ったか」はちょうど35年前、1985年のテレビドラマである。人気アイドルだった小泉今日子さんが主演を務め、視聴率もとても良かったそうだ▼少女の出生の秘密に音楽大学を舞台にした犯罪が絡むドラマ。少女を助ける、謎の男の正体が最終回で明かされる。実は東京地検特捜部の検事だった。びっくりしたことを覚えている▼その小泉さんはじめ多くの著名人が反対の声を上げた検察庁法改正案の採決が見送られた。ドラマを思い出した人もいるかもしれない。検事の仕事の「独立性」をかなり特殊な形で描いていたと今なら言えそうな気もする▼世論の批判を浴びながらも、安倍晋三首相は「国民の理解を得て進める」としており、あきらめたわけではない。気になるのは首相に何が起こっているのかということだ▼新型コロナウイルスを巡り、ちぐはぐな対応が目につく。アベノマスクが失笑を買い、部屋でくつろぐ動画はひんしゅくを買い、あげくに不要不急の法案ごり押しが大きな反感を買う。「1強」と言われたのは何だったのか▼未曽有の難局にあって、リーダーとしての本来の力量や資質があぶりだされているという指摘もある。コロナ時代はまだ続く。だからドラマの少女のように、検察に守ってほしいということなのか。