安倍首相が検察庁法改正を見送った理由はコレか! 黒川検事長に「接待賭けマージャン」報道! 懲戒免職も…!? 

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「そういうことだったのか…」

自公政権で衆参ともに過半数を超えており、「数の論理」で強行採決できるところをなぜ、安倍晋三首相は見送ったのか…?

5月19日、有名無名問わず多くの国民が発信した「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートを受けての判断からか、ついに安倍首相は、今国会での検察庁法改正を見送りました。

「たくさんの国民の抗議がSNSで結集して届いた!」

「芸能人や著名人が続々と声を上げたことが大きい」

法案が見送られた要因は色々と推察されていましたが、安倍首相は、今までどんなに自身が絡んだ不祥事や疑惑が生じて世論が反発しようとも、真摯に耳を傾けきたとは思えません。それが、人数も特定仕切れないSNSによる反対運動だけで、成立間際の法案を見送るものでしょうか。

そんな折、法改正見送りという意趣返しが腑に落ちるような“文春砲”が放たれたのです。

5月20日、『週刊文春』が『文春オンライン』で『黒川弘務東京高検検事長 ステイホーム週間中に記者宅で“3密”「接待賭けマージャン」』と題したスクープ記事を先出しで報じました。

『週刊文春』は現場の様子の写真とともに、こうリポートしています。

4人(黒川氏と産経新聞社会部記者、朝日新聞の元検察担当記者ら)が集まったのは5月1日。小池百合子都知事が「ステイホーム週間」と位置付け不要不急の外出自粛を要請、また安倍晋三首相も「人との接触8割減」を強く求めていた緊急事態宣言下でのことだ。夜7時半ごろに産経新聞A記者の自宅マンションに集合すると、午前2時近くまでマージャンは続いた。

また、5月13日にも同様に黒川氏はA記者宅に向かい、深夜までマージャンをしていた。

産経関係者の証言によれば、黒川氏は昔から、複数のメディアの記者と賭けマージャンに興じており、最近も続けていたという。その際には各社がハイヤーを用意するのが通例だった。

これを読んだだけでも、ツッコミどころ満載の“暴挙”です。

賭ける金額が少額でも「賭けマージャン」は賭博罪に当たる「刑法犯」です。一般人でも当然違法行為ですが、犯罪を徹底追及する側の検察上層部の人間が、さらにその権力を監視するはずのマスコミと一緒になって長年にわたる「賭博行為」を続けていたのです。

さらに、全国民が苦しんでいるコロナ禍による緊急事態宣言のさなかに、密接な距離で卓を囲むという3密中の「3密行為」を繰り広げていたわけです。

市中の雀荘は東京都から休業を要請されて、経営難に陥りながらも自粛している中で、東京高検検事長が自ら禁を破っていたのです。

開いた口が塞がらない…とはこの事でしょう。

国家公務員倫理規程上も大いに問題があります。『週刊文春』は人事院の見解を次のように載せています。

「国家公務員が会社の利益を目的とする人物(記者)から、社会通念上相当と認められる程度をこえて、接待や財産上の利益供与を受けている場合、国家公務員倫理規定に抵触するおそれがあります。そもそも賭けマージャンは刑法犯なので、そういう人物がいれば倫理法以前の問題。国家公務員法の98条(法令順守)や99条(信用を傷つけてはいけない)といった一般服務義務に違反する可能性があり、懲戒免職といった事態も想定されます」

懲戒免職――。「警察が泥棒」ならぬ「検事が賭博」をしたとなれば、当然の処分のはずです。ここで検察が徹底追及しなければ、それこそ、この国の検察は終わるでしょう。

そもそも、この法改正反対の契機は、その安倍政権との距離の近さから「官邸の守護神」と呼ばれた東京高検検事長の黒川弘務氏が、定年を迎えるにもかかわらず、安倍内閣が過去の判例をくつがえす「法解釈」で「定年延長」させたことにあります。その結果、黒川氏は検察のトップ・検事総長への道が一時は見えました。

それを後付けで法律の方を変えて帳尻を合わせ、今後は堂々と「内閣が検察人事に関与できる」ことを法制化しようとしたために、元特捜検事ら38人が意見書を出すなど、多くの有識者からも猛反発を受けたわけです。

ただし、法務省の管轄にある検察庁は、あくまでも「行政」の一機関です。国民に選ばれた国会議員から構成される内閣が、行政の一機関に関与することは極めて自然であり、実際、検事総長の任命は時の内閣です。しかし、任命後は、内閣の一存でクビにすることはできないことから、検察という司法にもかかる特別な機関と、絶妙なバランスで距離を保っていたとも言えます。

それでも危惧されるのが、内閣が恣意的に定年延長を決められることで、その「絶妙なバランス」を崩して、検察が時の政権が不祥事を起こしてもメスを入れられなくなる…という懸念に他なりませんでした。

この法改正において、安倍内閣は終始、「黒川氏の定年延長は関係ない」と言ってきました。実際、この法改正が成立したとしても、すでに法解釈で定年延長し、年度的にも黒川氏の動向には関係ありません。

とはいえ、この批判運動の端緒となった黒川氏が不祥事を起こしたとなれば、安倍首相はおそらく「躊躇なく切り捨てる」のではないでしょうか。

今までも安倍首相ベッタリで「忖度」してきた森友学園の例を出すまでもなく、一度、自身の「致命傷」になると思えば、一瞬で「赤の他人」となるのは、安倍首相の“十八番”とも言えるでしょう。

今回、安倍首相が「検察庁法改正は法務省が言い出した」と今さら言ってのけたのは、『週刊文春』の記事を事前に知って、この法改正にこだわると自分にも火の粉が飛ぶ…と察知したとも考えられます。

取材を受けた検察関係者からにせよ、産経、朝日新聞関係者からにせよ、検察もマスコミもズブズブな関係の中で、安倍首相の耳に届かないはずがありません。

何よりもまずは、黒川氏の処分と安倍首相の対応に注目です。(文◎編集部)

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