応援の介護職員派遣 福島県、仕組み構築 高齢者福祉施設クラスター対策

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 新型コロナウイルス感染拡大の第二波に備え、県は高齢者福祉施設で感染者集団(クラスター)が発生した場合、他の施設から応援の介護職員を派遣する事業を始める。感染者が出た施設を運営する法人に、別の法人施設から職員を派遣し、法人全体を支援する仕組みを構築する。県は応援職員の交通費や宿泊費などを負担し、介護環境を支える。

 県が二十日、高齢者福祉施設への応援職員派遣事業を発表した。事業イメージは【図】の通り。対象は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、認知症グループホーム、養護老人ホームなど。

 県内では二十日現在、十二日連続で感染者が確認されていないが、今後の第二波などに備える。県は約六百五十カ所の施設を対象に、派遣事業への事前登録を呼び掛ける。県から業務委託された県老人福祉施設協議会が登録を受け付け、職員派遣の調整に当たる。

 クラスターが発生した施設に、感染者が出ていない同じ法人の別施設から職員を補充する。この法人全体で職員が不足がちになるため、事前に県老人福祉施設協議会に登録している別の法人施設から応援職員を派遣してもらう流れ。派遣期間は最長で二週間を想定している。

 職員派遣の際には県独自のチェックシートを活用し、受け入れる施設にマスク着用や定期的な換気を点検させるなど感染防止策を徹底させる。県は新事業の運用について原則としてクラスター発生時を想定している。ただ、施設で感染者が一人でも確認され、濃厚接触者の人数が多数だった場合などは柔軟に対応する考え。

 高齢者福祉施設では利用者の入浴や食事、おむつ替えなど密閉、密集、密接の「三密」を避けられない業務が多い。いったん感染者が出ると急速に感染が拡大する懸念がある。高齢者は重症化するリスクも高いため、社会福祉法人などに事業への参画を促す方針。

 県高齢福祉課は「高齢者福祉施設は、自宅での介護が困難など利用者の状況によってすぐに休業させるわけにもいかない。利用者を守るとともに、職員の感染防止も徹底させる」としている。

■感染拡大防止が課題

 県が新型コロナウイルスの第二波に備えて始める応援職員派遣事業は、施設や法人間での職員派遣の調整をはじめ、施設の感染拡大防止策など解消すべき点がある。

 先月、富山市の介護老人保健施設で五十人以上が感染して死者が出た。この事例を受け、県は県内の施設に対し、感染者が出た場合を想定して事前に対応策を構築するよう求める文書を通知した。しかし、多くの施設で「介護サービスの維持と感染拡大防止の両立に頭を悩ませている」のが実情だという。

 以前から、県内の高齢者福祉施設では、人手不足が慢性化している。クラスターが発生したとしても、別の施設から応援職員を簡単に出すことができるどうかは不透明だ。

 今回の職員派遣事業の運用を担う県老人福祉施設協議会は二十二日から、約六百五十カ所の施設に事業への登録を求める。回答期限の六月五日までに、どのぐらい集まるかが、今後の事業運営の鍵を握る。

 協議会の高木健専務理事は「どの施設も感染リスクを抱えている。助け合いの気持ちを共有し、介護事業を継続できる仕組みを構築したい」としている。