「夏こそ」夢かなわず 甲子園中止 鹿児島県内球児ら無念

©株式会社南日本新聞社

「夏の甲子園」中止の報道を野球部員に伝える鹿児島城西高校の佐々木誠監督=20日、日置市の同校

 「夏に懸けていたのに」-。全国高校野球選手権の中止が決まった20日、鹿児島県内の高校球児や指導者らは無念さをにじませた。新型コロナウイルスの影響で、今春の選抜大会に続く中止。3年生は“聖地”甲子園の土を踏む夢を閉ざされた。晴れ舞台を心待ちにしていた保護者やファンらは複雑な心境を明かしつつ「今後の人生の糧にして」「代替大会の開催を」と思いやった。

 「頂を目指す強者であれ」。日置市の鹿児島城西高校グラウンドでは、この日新調した横断幕が揺れていた。新チームになってから数カ月にわたって考え抜いたスローガンだ。今春の選抜大会初出場を決めながら、中止に泣いた同校。「夏こそは日本一」との強い思いを胸に夢舞台を目指してきた選手たちに再び、つらい決定が下された。

 練習後のミーティングで、佐々木誠監督は中止決定の報道があったことを告げた。「最後までやりきることを大事に、腐らず頑張ってほしい」。数日前から中止の可能性を伝えられていた選手たちは、前を見つめ、その言葉を受け止めた。

 練習後、取材に応じた佐々木監督は全国総体の中止を踏まえながら「1%の可能性を期待していた。甲子園の土を踏もうと心一つにやってきたので残念」と話した。古市龍輝主将は「春が中止になり、夏は行きたいという気持ちがより強まったのに」と悔しがった。

 県大会中止も決まったが、代替大会の可能性は残る。「試合をして終わりたい。まだできることはある。悔いが残らないようにやり遂げたい」と誓った。

 2年連続で夏の鹿児島大会準優勝の鹿屋中央高校=鹿屋市。山本信也監督は練習の途中、選手を集めて中止を伝えた。山本監督の次男で、親子での甲子園出場が目標だった聖主将は「先輩たちから託された願いを果たせず、とても悔しい」。

 チームは代替大会を信じ、練習を続けるという。山本監督は「どんな形でもいいので、最後の大会は実施を」と訴えた。

 「判断をもう少し引っ張ってほしかった」と話すのは、昨秋の県大会で優勝した鹿児島実業高校の宮下正一監督。選手たちには「人としての真価が問われる時。立ち上がっていこう」と声をかけたという。県監督会会長でもある宮下監督は代替大会開催へ力を注ぐ考え。「選手たちが野球をやってて良かったと思えるよう、指導者一丸となって実現させたい」と力を込めた。