特定外来生物「ツマアカスズメバチ」駆除始まる 対馬市  市民協力 わな2000個設置

対馬グリーンパークで駆除を確認した4匹のツマアカスズメバチ女王蜂

 特定外来生物「ツマアカスズメバチ」の定着が国内で唯一確認されている対馬市で19日、市が女王蜂駆除のため仕掛けていたトラップの回収作業が始まった。女王蜂は巣作りに向け5月中旬に活発に活動し、その後、1万2千匹ほどの働き蜂や、約550匹の次世代の新女王蜂を産むため、この時期に女王蜂を捕獲することが防除の鍵となる。同日は市職員が市中部の対馬グリーンパーク(美津島町)で女王蜂4匹の駆除を確認した。
 同市などによると、ツマアカスズメバチは中国南部などを原産とするスズメバチの仲間。2003年に韓国の釜山で侵入が確認され、対馬では12年に初めて見つかった。対馬在来のニホンミツバチも襲って食べることなどから、養蜂や生態系への影響が懸念されており、15年に国が特定外来生物に指定した。
 女王蜂が侵入すると少ない個体数でも容易に定着する。対馬では13年度に57個の巣が見つかり、巣まるごとの駆除は同年度から、女王蜂の駆除は16年度から毎年実施している。しかし、18年度は350個、19年度は156個の巣が発見されるなど、一進一退の状況が続いている。
 本年度は、市民の協力も得て3月中旬から市内各地でトラップ約2千個を設置。トラップは、ツマアカスズメバチが入る穴を空けたペットボトルに乳酸菌飲料などを入れたもので、いったん中に入ると出られないよう、穴には返しがある。対馬グリーンパークでは5月1日に40個設置し、19日は市の担当者が1個ずつ中身を確認し記録した。
 市文化交流・自然共生課の神宮周作主任は「今回確認できたのは4匹だったが、ツマアカスズメバチは市北部に多く分布しており、油断できない。今年も全島的に駆除を行っていきたい」と話している。

 


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