2035年、EV・PHV向け急速充電器のストック数、日本1.5倍、中国4.2倍、米国3.7倍、独6.6倍

 化石燃料を消費せずCO2廃棄を削減し環境にやさしい運輸手段として開発・普及が推し進められている電気自動車、EV、PHV。普及のためには利便性の高い給電所というインフラの普及が前提となる。今年2020年は米中を中心にEV元年という年でもあったがコロナパンデミックの影響で減速しそうな様相もあるが、既に中国では経済活動が再開されEV等への需要動向も順調なようだ。

 総合マーケティングビジネスの富士経済がEVやPHVの普及に伴い、普通充電器や急速充電器を中心に需要が増加しているEV・PHV向け充電インフラについて、中国や北米など主要16ヵ国の市場を調査し、その結果を「EV/PHEV充電インフラの国別整備実態と普及計画 2020」としてまとめ一部を公表している。

 この調査では、主要16ヵ国(欧州6ヵ国、米州2ヵ国、アジア4ヵ国、ASEAN3ヵ国、オーストラリア)における3タイプの充電インフラ(急速充電器、ワイヤレス給電システム、普通充電器)の市場について現状を把握し長期予測をしている。

 今後急速に普通充電器を中心に普及が進み、急速充電器の需要も増加し中国を中心に市場は拡大傾向で推移するものと見られる。国別にみると中国では国策によりEVやPHVの販売が急増しており、各充電インフラの普及が進んでいる。次いで普及が進んでいるのが米国であるが企業平均燃費規制の規制緩和も有り一部で内燃車への回帰もみられる。ASEANではやはり国策としてEVやPHVの普及が進められている模様だ。

 35年における主要国の急速充電器のストック市場の予測をコネクタ数でみると、18年比で日本が154.1%程度、中国が4.2倍、米国が3.7倍、ドイツが6.6倍と日本の普及の遅れが目立つ。絶対量としても、日本が32.5万台、中国200万台、米国100万台、ドイツ43万台と日本は少なめだ。

 普通充電器の同様の予測値を見ると、日本が151.6%、中国が7.0倍、米国が3.6倍、ドイツが179.1%とやはり日本での数字が小さくなっている。日本ではType1が主流であり、搭載バッテリー10kWh前後のPHVの普及が進んでいることなどから大部分が出力1kW機と3kW機で今後もこの2タイプを中心に伸びるとみられる。

 中国やASEANでは国策で有り、日本もインフラ整備に国が積極的に介入する必要もあるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

富士経済が16ヵ国のEV・PHV向け充電インフラ市場を調査。中国では各充電インフラの普及が進んでいる

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