FIA会長、ベッテルのF1残留を願う「彼を獲得するチームはラッキー」

 FIA会長のジャン・トッドは、いかなるチームであっても、セバスチャン・ベッテルを獲得できるのならば、それを幸運と捉えるべきだと語った。

 ベッテルは2020シーズン末にフェラーリを去ることになる。チームには2015年から在籍し、現在まで14回の優勝をもたらしたものの、フェラーリでの世界タイトル獲得という目標は今のところ達成していない。

 今年のF1は新型コロナウイルス感染拡大により、最初の10戦が延期あるいは中止となっている。7月初旬から短縮されたシーズンとして実施される予定であり、ベッテルが究極の夢を叶えるチャンスは今やそこにしか残されていない。

 ベッテルの将来のプランは今のところ確定していないが、多くのチャンスが待ち受けているとトッドは考えている。

「セバスチャン・ベッテルはモータースポーツにおける偉大な才能の持ち主のひとりだ」とトッドは語った。

「彼は2021年以降、フェラーリでは走らないという発表があった。だが、他でも多くのチャンスがある。彼に対しては幸運を祈ることしかできない。しかし、彼を獲得できたチームは、どこであろうと非常にラッキーだ。私は本気でそう思っている。」

「もしかすると彼は将来、FIA会長として優れた仕事をするかもしれない。ひょっとしたらね」とトッドは冗談めかして語った。

■「今のフェラーリはシューマッハーの時代とは違う」と示唆するトッド会長

 フェラーリを大きな成功へと導いたミハエル・シューマッハーとベッテルとの比較を求められたトッドは、シューマッハーの時代の方が、フェラーリがチームとしてまとまりがあったと強調した。シューマッハーは7度のタイトルのうち5度をフェラーリで獲得、トッドは、彼とともにフェラーリを黄金時代へと導いた人物だ。

2004年F1ベルギーGP ミハエル・シューマッハーとフェラーリのチームマネージャー、ジャン・トッド

「結果は良くとも悪くとも、説明することができる」とトッドは語った。

「ミハエルがいた時、フェラーリはチーム全体で大きな成功を収めていた。我々は一丸となった強力なチームであり、互いに助け合っていた。良い時期よりも、特に難しい時期にだ」

「すべてがうまくいっているときにまとまるのは簡単なことだ。荒れた海のなかでは優れた船乗りが必要だ。そういう人物がいれば、海が荒れていても、全員がボートに乗っていられる」

「ボートの話になったが、もちろんこれはクルマの話だよ」

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