在宅でみんなが作っているご飯は何?栄養が足りない罪悪感を減らすちょっとしたコツ

長引く自粛生活の中、頭を悩ませるのが1日3度の食事の準備。毎日のこととなると、献立を考えるのも食事を作るのも面倒で、できるだけ手間をかけずに済ませたいと思う人は多いのではないでしょうか。

簡単な調理で、お肉と野菜をいっぺんにとれる焼きそばやチャーハンなどの一皿料理。時短で手軽にと、フードデリバリーやスーパー・コンビニで買った中食。

たまには手を抜くことも大切ですが、こうした食事が続く場合は栄養面で注意が必要だと専門家は指摘します。


自粛生活中に「増えたメニュー」と「減ったメニュー」

朝食を作ったと思ったら、すぐ昼食の時間。昼食の後片付けをしながら夕飯のメニューを考える――。自粛生活中、果てしなく続く食事の準備。隣の家庭ではどんなメニューを用意しているのでしょうか。

AI健康アプリ「カロリーママ(※)」などを運営するリンクアンドコミュニケーションが、自社のユーザーを対象に主食の変化を分析しました。調査対象は、同アプリに搭載されている約70種類の主食メニューのうち、入力頻度が高い以下の16メニュー。1月の喫食率を100%としたときの、2月以降の変化を調査しました。
※5月末より「カロママ」に名称変更予定

<調査対象の16メニュー>
・ごはんもの:白米、おにぎり、お寿司、カレーライス、炊き込みごはん、チャーハン
・パン類 :食パン、菓子パン、惣菜パン、シリアル
・麺類:そば・うどん、ラーメン、スパゲティ、焼きそば
・粉もの:お好み焼き・たこ焼き、ピザ

この16メニューのうち、1月に比べて4月に10%以上増加したのは、炊き込みごはん(39%増)、焼きそば(36%増)、ピザ(25%増)、チャーハン(18%増)、お好み焼き・たこ焼き(17%増)の5メニュー。朝昼晩、どのシーンにおいても増加傾向にあるのがわかります。

中でも、お好み焼き・たこ焼きの朝食の伸び率は4.7倍と、目を見張るものがあります。混ぜて焼くだけの手軽さが朝食にちょうどいいのかもしれません。

伸び率の高いメニューには以下の3つの共通点があるといいます。

1.一度にたくさん作れて、取り分けて食べることができる
2.子供が好きで、家族一緒に食べられる
3.短時間で作ることができる

一方、おにぎりやお寿司など、家族そろって食事がとれないときに個食として食べられがちなメニューは減少。臨時休校・休園や在宅勤務によって、今までより家族と一緒に同じメニューを食べる機会が増えていることが推測されます。

焼きそば、お好み焼き、ピザ…栄養足りてる?

伸び率の高かった炊き込みごはん、焼きそば、ピザ、チャーハン、お好み焼き・たこ焼きは、いずれも主食に肉や卵、野菜などが一緒に入った「複合的なメニュー」。野菜も入っているから栄養もとれていると思い込み、それひとつで食事を済ませてしまうことも多いのではないでしょうか。

ところが、そうした食事の場合、「十分な野菜やたんぱく質がとれているのか気になります」と指摘するのは、女子栄養大学の武見ゆかり教授(管理栄養士・栄養学博士)。

十分な栄養がとれているのかを調べるためには、野菜やたんぱく質を多く含む食品(魚、肉、卵、大豆)が、別皿に盛り付けたときに一品として成立する量かを考えることが大切だといいます。

「もし一品にならないほどの少ない量だったら、足りない分を別の料理で補いましょう。

たとえばスパゲティナポリタンなら、ハムは入っていますが、それだけでは一品にはならないですよね。野菜も、玉ねぎとピーマン少々では一皿の野菜料理にはならない。であれば、卵を目玉焼きにしてパスタの上にのせ、野菜サラダを一品加えるといったような工夫が必要です」

中食は〇〇に要注意!

また、フードデリバリーやテイクアウトによるお弁当、スーパー・コンビニ等で買ったお惣菜など、家庭外で調理された料理を家で食べる「中食」が続く場合はさらに注意が必要だといいます。

「中食の場合は、食塩摂取量の問題も懸念されます。すでに調味されていると、そこから食塩を減らすことはできません。中食を利用する際は、カロリー表示とともに食塩相当量の表示を見る癖をつけましょう」

武見教授によると、日本人の食塩摂取量は、若年者では自宅調理品からよりも、加工食品や外食からの摂取割合が多いといいます。1日の食塩相当量の上限は、男性7.5g、女性6.5g。中食でやや食塩相当量の多い食事を食べたら、次の食事では減塩を心がけるなど、1日の中でバランスを取ることが大切だそう。

では、具体的にどのようにしてバランスを取ればいいのでしょうか。日本高血圧学会の著書『減塩のすべて(南江堂)』も参考に、次のような工夫が考えられるといいます。

1:調味料を減塩タイプに変える
「日本人の食塩摂取源の約6割は、醤油や味噌などの調味料です。今はおいしい減塩調味料がたくさん販売されているのでいろいろ試してみてはいかがでしょうか」

2:うま味を活用
「昆布や鰹節だけでなく、トマトなどの野菜にも含まれているうま味を上手に活用しましょう。薄味でもおいしく食べられます」

3:主食は味付けをしていないご飯を優先する
「味飯、麺類、パスタ、パン類を主食にした場合、それだけで結構な食塩をとることになります」

4:塩は表面にだけ振る
「塩味をつけたい場合は、料理に混ぜこまずに表面に塩を振りましょう。表面についた塩は少量でも塩分を感じます」


常に栄養バランスを考えて食事を用意するのは大変なことです。毎日の食事を楽しむためには、手を抜くことも大切。中食を取り入れるときやお手軽メニューにするときも、栄養面での注意点を頭の片隅に入れておけば、気持ちが少しラクになるかもしれません。

© 株式会社マネーフォワード