会えない。でも誰かそばに… コロナ禍で結婚相談増 大きな決断する女性

新型コロナで会いたい人に会えない今、人生を共に歩んでくれる相手を求める人も増えている(写真はイメージ)

 新型コロナウイルスの感染拡大が人々の心を不安にさせている。新型コロナの流行以降、長崎県内の結婚相談所で相談件数が増えている-そんな話を聞いた。外出自粛で会いたい人に会えない。でも誰かにそばにいてほしい-。こうした心理が働いているのだろうか。周辺を取材した。

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 「コロナは自分を見つめ直すきっかけになった」。県内の会社員女性(34)は今、大きな決断をしようとしている。
 交際中の男性がいるのに「婚活」を始めたのが約3年前。彼氏のことは好きだし、一緒に居て心地よかった。でも収入が不安定で、結婚生活を描けなかった。後ろめたさを感じながらも数カ月に1度、婚活イベントに参加した。
 出会いの機会こそ増えたものの、限られた時間の中で、初対面の男性の人柄を探るやりとりに心はすり減っていった。意中の人に巡り会えないまま時間は過ぎ、新型コロナの影響で自由に外出することもできなくなった。
 家と職場を往復するだけの生活。母にミシンを教わったり、父と世間話をしたり。たわいないけど温かなやりとりを通じて、ふと思った。「もし一人で暮らしていたらどうなっていただろう」。頭に浮かんだのは彼氏の顔だった。
 図らずも、コロナの影響で男性は転職。収入も増えた。女性は「家族のように何でも話せる関係が幸せなんだと気付かされた。そんな気持ちを得られるのは彼なのかな」と言った。

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 コロナ禍の中で、家族の大切さを実感したり、パートナーの支えを求める人は少なくない。
 佐世保市などを拠点にする結婚相談所「BRIDAL KANAI」によると、2、3月は例年は閑散期だが、今年は相談件数が倍増。感染予防のため、ホテルやカフェでの見合いをテレビ会議アプリ「Zoom」で代用するなどして対応している。金井檀社長(44)は「自粛が続くからこそパートナーを求める人に何ができるか考えたい」と力を込める。
 県などの婚活事業「ながさきめぐりあい」で婚活イベントを開く長崎市の副島亮子さん(58)は今も開催を見合わせている。今月からマスク着用など対策を取った上で開催できるようになったが、もし感染者が出たら…と考えると、開催に二の足を踏む。
 イベント参加歴がある人たちを対象にしたアンケートでは再開を望む声が多く寄せられている。副島さんは「結婚への気持ちが高まったのに出会えないという焦りを感じる。(ウイルスは)人と人の気持ちを引き離す見えない敵。参加者の気持ちを尊重しながら、収束の時期が見えたら再開したい」と話す。

 


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