【リノベの失敗談】こんなリノベーションは失敗する?成功する人との違いとは

表参道で見かけたリノベーションのお店『クロニクル』の窓口にいた、インテリアコーディネーターのおねえさんによる根気強くてわかりやすい説明によって、リノベへの決意を固めつつある理延城人(りのべ・しろと)──最後は「よくある失敗談」をリサーチすることで、今後のリスク回避を図るのであった。

《目次》- アレもやりたい、コレもやりたい…だとリノベは失敗する?

アレもやりたい、コレもやりたい…だとリノベは失敗する?

モダンでクールな感じが好きだけど温かい雰囲気も捨てがたい」。方向性の違うテイストをごちゃまぜにすると統一感がなくなり、予算もオーバーしがちに…

業者さんからいろいろお話を聞いてリノベを進めているうち、「アレもコレも…」と欲が出てきて、結果として当初の予算を大幅に上回ってしまった…なんてことにはなりません?

江藤:それは残念ながら、リノベーションの典型的な失敗パターンです。

理延:そ、そうなんですか!?

予算以前に、「やりたいこと」をその場その場で、思いつくままに付け足してしまえば、パッチワーク状態のチグハグなリノベーションに終わってしまう危険性があります。

理延:ぱ、ぱっちわーく?

江藤:極端な話、天井はコンクリート打ちっ放しのモダン風にしたいけど、リビングはフレンチクラシック的な温かい雰囲気の空間にしたい……みたいなご希望を無理やり両方取り入れようとしたら、統一感の面でぐちゃぐちゃになってしまうでしょう。

理延:すっと入ってきました! 野球に例えれば、全員を四番バッターで揃えるようなものですね。強いチームをつくるには、やはり足の速い一番バッターやバントの上手い二番バッターも必要なわけで。

江藤:……まあ、そんなところです(笑)。

理延:ビュッフェスタイルの食事でも「アレも食べたいコレも食べたい」と皿を山盛りにしたら、食べすぎてお腹こわしゃいますもんね。

江藤:「ビュッフェ」は素晴らしい例えです。スッと入ってきました(笑)。

理延:ならば、そういう失敗をしないための心得をゼヒ!

江藤:とにもかくにも、なんでもいいから、ヒアリングの段階で最初に全部お客さまのご希望を吐き出してしまってください。

理延:ほう!

江藤:後出しで徐々に希望を小出ししていくのが、もっとも失敗しやすいケースなので。そして、そのイメージが混沌としている状況のなかから、一本の道筋をつくって、方向性を見いだし、プランニングしていくのが私どもの役目です。

《補足解説》

「自分の理想」をトータル的に見つめ直したうえで、方向性の違う“希望”は、ある程度どちらかをあきらめる勇気も大事なのではないでしょうか。そういう失敗を避けるためにも、ヒアリングは重要になってきます。

リノベーションにありがちな3つの失敗例

**【失敗例:その1】

マニアックにリノベしすぎて
売りづらい物件になってしまった**

せっかくのリノベーション。とことん自分のこだわりや好みを突き詰めたいところだが、あまり個性的になりすぎるとリセール時に問題が生じる!?

あまりにマニアックに内装をリノベしすぎたら、売りに出しても買い手がつかなかったりするのでは?

マニアック具合にもよりますが(笑)、そういったケースも稀にあるかもしれません。

理延:ちなみに「売りづらいリノベ物件」って?

江藤:リビングが度を越して狭いとか、部屋中の壁紙が原色でカラフルすぎるとか、料理好きが高じて、あまりに本格的なキッチンを作ってしまったとか……。あと、なにをするのかは不明ですが、謎のステージがあったり(笑)。

何年後かに売るつもりだったら、そのときの欲望のままにリノベするんじゃなくて(笑)、数年経ってから「中古マンションとしても魅力的かどうか」を想像しないと……。希望通りの住まいに仕上がっても、結局後悔しちゃうわけですよね。

う〜ん、そこまで不安がらなくてもいいかも……。個人的な意見ではありますが、よほど特殊なこだわりでもないかぎり、リノベーションすることで売りづらくなることは、あまりないと、私は思います。

《補足解説》

原則として、配管なども新品に変えるフルリノベーション物件は、資産価値が高くなります。また、エッジの利いた物件を探しているお客さまも少なくはないため、その“こだわり”がより価格を上げることもあります。さらに、こだわり物件は撮影スタジオとして貸し出すなど、新しい活用法が出てくる可能性もあります。

**【失敗例:その2】

図面上の間取りは気に入っていたのに
いざ住んでみたらダメだった…**

部屋を大きくしたいがために、廊下やトイレのスペースを犠牲にするのはいただけない。「一般的に使い勝手の良い間取り」を意識すると後々まで快適に過ごせる

工事もスムーズに進んで、当初の設計図どおりの部屋ができたのに、実際住んでみたら、いろいろ不具合が出てきた、ってケースも?

なくはありません。なので、とくに「お子さまができてもこの物件に住み続けたい」といった長期的な展望をお考えのお客さまには、一般的に使い勝手の良い間取りをオススメするようにしています。

「一般的に使い勝手の良い間取り」って、どんなの?

畳数にすると、一部屋はやはり5畳以上ないと厳しいですね。それ以下だと、仮に子ども部屋にしたとき、ベッドと勉強机を一緒に置くことができなくなります。

理延:ん〜む、リビングを広くしたいから、他の部屋を3畳くらいに縮める、みたいなことはやってしまいがちかも(苦笑)。

江藤:5畳以上あっても、最低幅2メートルをキープしなければベッドが入りません。したがって、ベッドをどんな向きにも入れられるよう、度をすぎた細長い部屋にするのはやめましょう、とご提案しています。

《補足解説》

部屋の畳数をなるべく大きく確保するため、「廊下やトイレは狭くてもいいから」とおっしゃるお客さまもいらっしゃいます。しかし、老後に杖を突いて歩かなければならなくなったとき、あるいは、そういうお年寄りと同居する場合、相当なストレスとなるので、ある程度の広さは確保しておいたほうが無難でしょう。ライフスタイルや暮らしの変化に対応しやすい家づくりポイントとなってきます。

**【失敗例:その3】

慎重になりすぎて
好物件を逃してしまった**

「不動産は水モノ」。ピンとくる物件に出会ったら、なるべく早めに動いたほうがいい

理延:リノベ物件にかぎらず、悶々と悩みすぎて、いい物件が他人の手に渡ってしまった……なんて失敗も、ありますよね?

江藤:そこは十分に気をつけてください。「不動産は水モノ」です。「気に入っていたのに、もうちょっといい物件が出てくるまで待ってみよう」と躊躇した挙げ句、1年経ってもまだお探しになっている、といったケースは多々ありますから。

理延:ボクのまわりにも、そういうヤツはたくさんいる(笑)。はい! あらためて肝に銘じておきます!!

《補足解説》

じつにデリケートな問題ではありますが、条件に合う物件が出てきたら、そのときは迅速に動く決断力も大切。ただし、配管などは、リノベーションを開始して解体してみないとわからないため、開けてあまりにも古かった場合は、取り替えをおすすめせざるを得ません。中古マンションの場合は、管理状況がどうなっているかも注意したいところ。メンテナンスや修繕計画がしっかりした物件なら安心感があり、満足度の高い買い物になるでしょう。

予算オーバーを避けるためのアドバイス

「リノベが終わったら、予算オーバーですっからかん」…なんてことにならないように、予算の話は随時リノベーション会社に確認したほうがいい

やっぱりボクは、最終的な予算オーバーが怖くてたまらない。

わかります!

だって、リノベを進めているときは躁状態じゃないですか。「なんでもかんでもヤッちゃいましょう」とOKしたものの、いざ終わったら予算の倍くらいの費用がかかってしまいました……と、そんな失敗を犯さないためには、どうすれば?

私どもとお客さまが事あるごと、地道に確認し合うしか方法はありません。あと、お客さまのリノベ熱が燃え上がって冷静さを欠いてしまう状況を避けるため、弊社では、後々トラブルにならないように、最初にお客さま側の予算はきちんと確認します。

理延:そのへんはちゃんとお願いしますよ〜!

江藤:それにプラス、さまざまな追加要望にお応えした場合の参考価格の見積もりも複数パターンでご提示いたします。できないことはできない、この物件だとこうなる可能性もある……ということを、プロとしてしっかり最初にお伝えしておくことが重要だと私どもは考えております。

理延:そういうマメな確認をしてくれない業者さんなら、こちらからマメに質問せよ、ってことかぁ。

江藤:そのとおりです!

《補足解説》

一生モノのお買い物をなされるのですから、お客さま側も真剣に取り組んでいただく姿勢は不可欠だと思います。打ち合わせを面倒くさがってはいけません。逆に、打ち合わせを億劫がる業者は、怪しいと見なしたほうがいいのかもしれません。疑問に思った点はどんな些細なことでも相談してください。

また、予算オーバーになる原因の一つとして、リノベーション工事中に住宅の劣化が判明して修繕のための追加工事が発生するということがあります。フローリングや床材をはがしてみたら中がボロボロだった、配管が古くて交換する必要があった、など見た目ではわからない部分なので、中古物件の購入の際は事前にホームインスペクション(住宅診断)を受けることをおすすめしています。予算内でリノベーションするための、中古物件選びのコツやポイントは以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
中古マンション時の注意点は築年数に税金や耐震――その他契約のチェックポイントは?

業者選びの失敗を避けるためのアドバイス

リノベーション成功のカギは「綿密な打ち合わせ」にある。面倒くさがらず、疑問に思ったことは何でも相談したほうがいい

「打ち合わせをマメにしてくれない業者さんは避けろ」は、まさに金言です!

理延:契約前なら“乗り換え”だって、問題ないわけだし。

江藤:いっそう正確な言いまわしをするなら、「疑問をクリアにしてくれない業者さん」ですね。

理延:ただ、いきなりネットで調べても、山ほどのリフォーム会社が出てきて、そのなから一軒を選ぶって……むっちゃ悩んじゃいそう。

リノベーション会社によって「得意分野」は必ずあります。弊社の得意分野は「無垢材」。お客さまがまず、なにを重視するか、ある程度の目途をつけておいて、ホームページに掲載されたリノベーション実例写真から得意分野の見当をつけてみるのも一つの手段です。

理延:勉強になるわ〜! では、ズバリ!!「リノベのゴール」とは?

江藤:とてもむずかしい質問ですね。

理延:ふふん……(なぜか自慢げ)。

江藤:インテリアまでを念頭に置けば、リノベーション後でもいくらだって買い足すことができるわけで、正直なところ「ゴールはない」んですよ。あえて申しますなら「ご予算とやりたいことのトータルバランス」なのではないでしょうか。いずれにしろ、お客さまが納得したところに着地することを、私どもは常に目標としております。

《補足解説》

「どこまで予算をオーバーしてもかまわないか」を、あらかじめ線引きしておくこともゴールの目安をつけるには有効です。たとえば、自己資金がなくて全額ローンを借り入れるお客さまだと、いくらオーバーしたくてもできないわけで、“当初の予算”がシビアなデッドラインになってきます。

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