医師2人の音楽ユニット「インスハート」 外出自粛の人向け新曲MV制作 「心の距離は近くありたい」 約100人がリモート“協演”

「おうちにいるあなたへ」のミュージックビデオのワンシーン(上から2段目中央左がToshiさん、同右がJyunさん)

 「この雨があがったら あなたと何を話そう ほんとに大変だったね、って 泣きながら笑おう」-。長崎大医学部出身の医師2人の音楽ユニット「Insheart(インスハート)」が、新型コロナウイルス感染拡大防止で外出を自粛している人々に向けた新曲「おうちにいるあなたへ」のミュージックビデオ(MV)を制作した。MVではファンら楽曲に込められたメッセージに共感した約100人が、リモートによる歌や楽器の演奏などで“協演”している。
 2015年に結成。福岡県を拠点に活動している。メンバー2人はそれぞれ別の病院に勤務。形成外科医のToshiさん(西彼時津町出身)がボーカルとバイオリン、精神科医のJyunさん(佐賀県鳥栖市出身)がギターと作詞、作曲を担当。被爆者や障害者、難病患者とその家族らの話などを基にオリジナル曲を制作、4枚のCDをリリースしている。
 「おうちにいる-」は、コロナ禍を雨に例えたフォーク調の曲。ゆったりとしたリズムと覚えやすいメロディーが特徴。外出を自粛する人々に寄り添うメッセージをちりばめている。作詞・作曲を手掛けたJyunさんは「自分自身も外出自粛が続く中で心が落ち込み、孤独感や生活への不安にさいなまれていた」と話す。その上で、「精神科医として、同じような思いを抱える人々の心を支えたかった」と同曲を作った理由を明かす。
 5日、メンバーが演奏する音源をユーチューブや公式ホームページ(HP)で公開。「この曲を応援してくれる皆さんと一緒に歌いたい」と呼び掛け、自宅などで歌っている映像の動画を広く募集したところ、8日までの締め切りに無料通信アプリLINE(ライン)を通じ約100件の応募があった。
 動画はToshiさんがパソコンで組み合わせ、心温まるMVに仕上がった。10日にユーチューブで公開。「想像をはるかに超える反響があり本当にうれしかった。ただ、編集作業はパソコンに負荷が掛かり大変だった」
 19日現在、MVの視聴数は公開から10日間で6万2千件以上。Toshiさんは「音楽で自宅にいる人同士をつなげることができた」。Jyunさんは「今の社会ではソーシャルディスタンス(社会的距離)が求められているが、心の距離は近くありたい」と話している。「おうちにいるあなたへ」のCD化は未定。

◎「おうちにいるあなたへ」(歌詞一部)
 作詞・作曲 Jyun

やまない雨はないらしいと聞いたので
今おうちにいるんだけど
カーテンを開けたら
窓の外はまだ
どしゃぶり どしゃぶり 
みんなのココロも どしゃぶりになって
溺れそうになっています
天気予報士も分からないらしいです
いつ雨がやむのか
いつ光がさすのか
この雨があがったら
あなたとどこにいこう
青空 光をあびて
ただ一緒に歩こう
この雨があがったら
あなたと何を話そう
ほんとに大変だったね、って
泣きながら笑おう

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