新型コロナで「使い捨てカーテン」に熱視線

新潟の医療品製造会社が開発

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新型コロナ感染拡大で注文が増えた使い捨てカーテン(リリー提供)

 新潟市の医療用品製造・販売会社「リリー」が販売を始めた「使い捨てカーテン」に医療関係者から熱い視線が注がれている。担当者が取引先から投げ掛けられた素朴な疑問がきっかけで開発が始まり、5年がかりで発売にこぎつけたカーテンは、新型コロナウイルスの感染が広がる中、「感染症対策に役立つ」と口コミで評判が広まり、全国各地から注文が舞い込んでいる。(共同通信=遠藤正秀)

 ▽看護師長の言葉

 「まさか、こんなに問い合わせが来るとは…」。3月下旬、工業用のミシンがずらりと並ぶ新潟市東区の工場の一角で、出荷準備に追われる女性従業員を見守りながら、医療用品製造販売「リリー」の相場一明(あいば・かずあき)社長(44)は語った。

 「医療用のマスクや手袋は使い捨てがあるのに、なぜカーテンはないんだろうね」。開発のきっかけは5年前、取引先の新潟市内の病院の看護師長がリリーの担当者に発した何気ない一言だった。

使い捨てカーテンについて説明する「リリー」の相場一明社長

 リリーによると、病院の診察室や病室で使われているカーテンは血液や咳などの飛まつが付けば、クリーニングに出して繰り返し使うのが一般的。カーテンは厚手でかさばり、価格は1万円を超えるものがほとんどという。

 看護師長の話を聞いた担当者は「使い捨てのカーテンを作れば、きっと感染症の予防にも役立つ」と考え、試作品を持って何度も病院に足を運び、意見を聞きながら、従来品の4分の1に価格を抑えた使い捨てカーテンを完成させた。

 ▽消防法に対応

 素材には、薄くて軽いポリエステルの不織布を使い、診察の時に患者が透けて見えないようメーカーとやりとりを重ね、専用の生地を開発。上部をメッシュ素材にして、下半分だけ交換できるよう工夫も凝らした。

 国内では、不織布を用いた使い捨てカーテンで消防法に完全対応するものはほかになく、特許も出願した。汚れやウイルスが付いても、小さく丸めて廃棄物として捨てることができるのも売りだ。

消防法に完全対応するため日本防炎協会の認定を取得している

 本格的な全国販売を前に今年2月中旬、横浜市で開かれた日本環境感染学会の総会・学術集会に展示すると、医療機関の関係者から「もっと詳しく知りたい」「案内を送ってほしい」などの声が数多く寄せられた。

 ▽うれしい誤算

 早速購入した病院関係者の評判は上々で、3月から5月にかけて注文を受けたカーテンは月平均で2000枚。3月下旬からは、増産に乗り出している。

相次ぐ注文に増産に乗り出し、出荷作業に追われている

 発売から2カ月超。今も北海道や熊本県など、全国各地の医療機関から連日のように注文が舞い込む。あまりの人気に「すべての注文には、対応できない状況」(リリー担当者)で、新型コロナの影響で取引先に出向いて営業できない今、会社にとってはうれしい誤算だ。

 中には、カーテンメーカーからの引き合いもあるといい、相場社長は「今後は病院だけでなく、福祉施設や行政機関などにも幅広く普及を図っていきたい」と新型コロナウイルスの流行が終息した後を見据えている。