出光昭和シェル、超小型EVと再エネを用いたカーシェアの実証開始 千葉県館山市で

出光興産株式会社(以下、出光昭和シェル)は、千葉県館山市で超小型EVを活用したカーシェアリング事業「オートシェア」の実証実験を開始した。昨年8月に開始した岐阜県飛騨市・高山市に続いて二ヵ所目の事例となる。車両を充電するカーポートに出光昭和シェルの子会社であるソーラーフロンティア株式会社が開発している軽量CIS

太陽電池を設置し、再生可能エネルギーで走行するEVを用いたシェアリング事業の実証に取り組む。

※銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)の3つを主原料とする太陽電池

出光昭和シェルは2019年8月から岐阜県飛騨市・高山市で超小型EVを活用したカーシェアリング「オートシェア」の実証実験を開始。公共交通機関が不足している地方部で、超小型EVを活用したMaaS(Mobility as a Service)の有用性を検証してきた。

新たに実証を開始する千葉県館山市では、株式会社タジマモーターコーポレーションが開発する超小型EV「ジャイアン」計4台を、出光昭和シェル系列の販売店である丸高石油株式会社に、貸与。一般と法人を対象にカーシェアリングサービスを提供する。

館山市での実証では、地元企業や駅前などの駐車場3ヵ所をカーステーションとし、地元住民の買い物などの近距離移動での利用を想定している。一部車両は、丸高石油から地元企業に貸与され、平日は営業車としての使用、休日・祝日は一般向け、もしくは別の企業向けに貸し出すとのことだ。

そのほか、充電インフラに関しても新たな取り組みを行う。車両の充電ポートの屋根に軽量CIS太陽電池を設置し、EVの動力源に再生可能エネルギーを活用する方針だ。今回用いる軽量CIS太陽電池は、パネルの表面材と基板を刷新して従来品と同等の性能を維持しながら、重さは1/3程度、割れない、曲がるという特性を有しているという。さらにカーポートには株式会社ダイヘンが開発した非接触充電設備を設置しており、軽量CIS太陽電池で発電した電気をワイヤレスで車両に充電する。

出光昭和シェルは今回の発表において、自然災害が多い日本での地域マイクログリッドの必要性に触れた上で、「本実証を通じて、地産地消型の分散電源を活用したMaaS事業の可能性を検証し、新しいモビリティ社会の創出に取り組みます」としている。

軽量CIS太陽電池付のカーポート

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