違う代表チームでプレーしていたかもしれない選手達(プレミアリーグ編)

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昨今、日本でもダイバーシティ化が進み多様化社会を迎えている。現代のフットボール界では多国籍者が珍しく無くなり、世代別の代表チームであれば自由に変更することが可能だ。一方、A代表に関してはルールが過去の時代より厳格化され、1つの国を代表して公式戦に出場したのであれば、他の国籍を有していてもチーム変更は難しい。

今回はそれぞれ複数の国籍を所持しながらも1つの国に忠誠を誓った選手達をご紹介しよう。

ピエール=エメリク・オーバメヤン 写真提供: Gettyimages

ピエール=エメリク・オーバメヤン

現所属:アーセナル

代表チーム:ガボン

稀代の点取屋であるオーバメヤンは、フランス国籍を持つ元ガボン代表の父とスペイン人の母の間に、フランスマイエンヌ県の中にある小さな町ラヴァルで誕生した。そのため同選手はガボン、スペイン、フランスの代表資格を持つ。U21までフランス代表でプレーしてきたオーバメヤンだが、父親が代表キャプテンだった影響を受けてU23からはガボン代表を選択している。同選手は19歳でA代表デビューを果たし、これまでに3回のアフリカネイションズカップ、1回のオリンピックを経験している。

エリック・ダイアー写真提供: Gettyimages

エリック・ダイアー

現所属:トッテナム・ホットスパー

代表チーム:イングランド

スパーズに所属するダイアーは、イングランド人両親の元、イングランド南西部にある町チェルトナムで生まれた。彼は家族と7歳の時にポルトガルへ移住しており、移住先のリスボンでスポルテイングCPの下部組織に入団した。同選手は2010年4月にクラブとプロ契約を交わし、同時期にポルトガルサッカー協会からも熱心に誘われてきた。ポルトガルへの愛着から家族全員は彼が召集に応じると思っていた。しかし、ダイアーは召集を決断する前にイングランドアンダーカテゴリーの合宿にも参加した。そこでピーター・テイラー、ノエル・ブレイク、ガレス・サウスゲイトなどの監督達と出会い、スリーライオンズ(イングランド代表の愛称)の為にプレーする決断を下す。

後に彼はインタビューでこう語っている。「ポルトガルは紛れなく私の家だ、しかし僕は小さい頃からいつだってイングランドの為に戦おうと胸に誓ってきた」

ダイアーはこれまでにEUROとW杯を1回ずつ経験しており、代表で40試合に出場している。

リヤド・マフレズ写真提供: Gettyimages

リヤド・マフレズ

現所属:マンチェスター・シティ

代表チーム:アルジェリア

昨年、マンチェスター・シティの国内三冠に大きく貢献したマフレズは、パリ近郊のサルセル出身である。アルジェリア人の父とモロッコとアルジェリアのミックスである母を持つマフレズはフランス、アルジェリア、モロッコ3つの代表資格を持つ。フランスで生まれ育った同選手だが、幼少期から家族の方針で休暇はほぼ必ずアルジェリアで過ごした。長期間の滞在により愛着が沸いたのか、2013年に彼はアルジェリア代表でのプレー希望を表明した。マフレズは2014年ワールドカップの前に代表に初招集され、そのまま初キャップを刻んだ。同選手はこれまでに2回のアフリカネイションズカップと1回のW杯を経験しており、現代表のキャプテンでもある。

ジョエル・マティプ写真提供: Gettyimages

ジョエル・マティプ

現所属:リバプール

代表チーム:カメルーン

今シーズン、プレミアリーグで首位を快走するリバプールで抜群の安定感を誇し、チームを支えているのがマティプだ。これはちょっとした有名な話かもしれないが、マティプはドイツ人の母とカメルーン人の父の間に生まれたハーフである。出身地であるボーフムのユースチームを経て、シャルケでトップチームデビューを果たした彼は、すぐさまカメルーン代表からの召集を受けた。しかし、当時マティプはドイツ代表でのプレーを強く希望していたため、誘いを断った。

2010年、ワールドカップ出場を目指していたマティプは長年声をかけ続けてくれたカメルーンサッカー協会の要望に応える形で晴れて“不屈のライオン”の一員となった。同選手はカメルーン代表で2回のW杯を経験しており、中心選手として3回目の出場を目指した矢先の2015年に、チーム方針に疑問を抱き24歳の若さで代表を引退している。

ジョルジーニョ写真提供: Gettyimages

ジョルジーニョ

現所属:チェルシー

代表チーム:イタリア

ブラジル、サンタカタリーナ州出身であるジョルジーニョは、15歳の時に祖父母の母国であるイタリアに移住した。ヴェローナ、ACサンボニファチェーゼを経て2014年の1月にナポリへ加入。そこで彼は後の恩師であるサッリ監督の元で才能を開花、セリエAでセンセーショナルな活躍を披露した。彼はブラジルとイタリアの二重国籍であるため、両方の代表を選ぶ権利がある中ジョルジーニョはアズーリ(イタリア代表の愛称)でのプレーを決断する。U21代表に召集された後、2016年に念願のフル代表でデビューを果たした。

アンドレアス・ペレイラ写真提供: Gettyimages

アンドレアス・ペレイラ

現所属:マンチェスター・ユナイテッド

代表チーム:ブラジル

今シーズン、スールシャール監督の元で多くの出場機会に恵まれたペレイラはベルギーのアントウェルべン州出身。ブラジル人のサッカー選手を父に持つ彼はPSVのユースでインパクトを放した後、ファーガソン監督の直接説得によりユナイテッドへ加入した。

アンダーカテゴリーをずっとベルギー代表でプレーしてきた同選手だが、18歳の時に突如「僕は自分がブラジル人だと思っている」と発言。それからの彼は2014年にブラジルU-20代表に召集され念願の代表入りを果たした。2018年にフル代表へも初召集され、順調にステップアップを果たしているようだ。

アレックス・イウォビ写真提供: Gettyimages

アレックス・イウォビ

現所属:エヴァートン

代表チーム:ナイジェリア

ナイジェリアのレジェントであるジェィジェィ・オコチャを叔父に持つイウォビはナイジェリアのラゴス生まれ。イウォビ一家はトルコで短期滞在した後、彼が4歳の年にロンドンのニューハムへ移住した。9歳でアーセナルの下部組織に入団し、その後も順風満帆にサッカー選手としてのキャリアを歩み始めた彼だが、代表チームでは世代別でプレーしたイングランドではなく生まれ故郷のナイジェリアを選択している。

イウォビはスーパーイーグルス(ナイジェリア代表の愛称)の一員として2018年のW杯出場を果たし、2019年のアフリカネイションズカップでは3位の成績を収めた。

ウェズ・モーガン(中央)写真提供: Gettyimages

ウェズ・モーガン

現所属:レスター・シティ

代表チーム:ジャマイカ

4年前、レスターはサッカー史に残る奇跡の優勝を果たした。その奇跡のチームを間違いなく大きく牽引したのがキャプテンのモーガンだ。この経験豊富なベテラン選手は35歳となった今もジャマイカ代表から召集を受けており、名実ともに同代表史上最高級のセンターバックだ。ジャマイカの印象が強いモーガンだが、実は生まれも育ちもイングランド中部の街ノッティンガムである。

モーガンは地元チームのノッティンガム・フォレストで10年間主力としてプレーしたが、チームが下部リーグ所属であったこともあり、イングランド代表としてスポットライトを浴びる機会がなかったのだ。2013年、彼はルーツがあるジャマイカ代表からの召集を受け、パナマ代表との試合で代表デビューした。

デクラン・ライス写真提供: Gettyimages

デクラン・ライス

現所属:ウェストハム

代表チーム:イングランド

代表チームの変更で記憶に新しいのがライスでは無いだろうか。アイルランド代表の次世代中心選手として、彼は2018年のトルコとの親善試合で19歳の若さで初出場を記録した。しかし、彼はあろう事か同年末に突如イングランド代表を目指すと宣言。この将来代表チームの大黒柱になり得る選手の突然代表鞍替えにアイルランド国内は大激怒、ライス自身にも匿名で大量の脅迫状が届いたそうだ。大きな物議を醸した決断だったが、彼は2019年に無事イングランド代表をデビューしている。

番外編

アダマ・トラオレ(右)写真提供: Gettyimages

アダマ・トラオレ

現所属:ウルヴァーハンプトン

代表チーム:スペイン

今シーズンのプレミアリーグで間違いなく名実共にブレイクを果たしたのがトラオレでは無いだろうか。バルセロナの下部組織出身で知られる同選手だが、フィジカルを十二分に活かしたプレースタイルはバルサとのイメージが余りにもかけ離れている。

その類まれな身体能力はマリ出身の両親によるところが大きい。トラオレ自身もマリ系スペイン人であり、年代別でプレーしたスペイン代表では無く両親の出身国であるマリの代表を目指すと過去表明していた。

しかし、今季突如の大ブレイクにより、生まれ故郷であるスペインから初めての召集がかかり、同選手も応じることに決めたようだ。だが、残念な事に代表召集を受けた直後、トラオレはウルブズのチーム練習で負傷したため代表チームに合流していない。代表デビューはまだしていない為、今回は番外編にさせていただいた。