軍艦島クルーズ 運航再開めど立たず 「3密」回避対策に苦慮

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運航再開を待つ軍艦島クルーズ船=長崎港

 長崎市は、新型コロナウイルス流行の影響で閉鎖した57の市有観光施設などを6月1日に再開する。世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である端島(軍艦島)も上陸解禁となるが、上陸クルーズを手掛ける5社はいずれも客足の回復が見込めず、船内の「3密」(密閉、密集、密接)を回避する対策にも苦慮。運航再開のめどは立っていない。
 軍艦島上陸は、台風被害に伴う約5カ月間の禁止を経て2月21日に再開されたが、新型コロナの影響で4月10日に再び禁止となった。
 市内に本社を置く運航会社5社の中には「夏まで予約が全くない。今年中は客足が戻らないのでは」と懸念する声も。船内の3密回避で乗客数を減らせば、採算が悪化することも再開をためらわせる一因となっている。
 軍艦島コンシェルジュと高島海上交通の2社は「乗客と従業員の安全を確保する必要がある」などとして、ひとまず6月末まで休業期間の延長を決め、対策の検討を進めている。
 ほかの3社も今のところ再開時期は未定。シーマン商会は再開時に乗客数の抑制を検討しており「後はどれだけ予約が入るかだ」としている。やまさ海運は、船内用の除菌装置を導入予定で「コロナで船旅のイメージが一変した。爽やかな船旅の特別感を取り戻したい」と需要回復を願う。
 一方、ほかの市有観光施設は再開に向け準備を進めている。グラバー園(南山手町)は、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)確保のため、入場口に足跡を描いたマットを新設。定期的に3密回避のアナウンスを流す。来園者の感染が後で分かった場合に備え、追跡調査しやすいように来園者の連絡先を事前に聞き取ることも検討している。
 カトリック長崎大司教区が所有する大浦天主堂(南山手町)と敷地内のキリシタン博物館も6月1日に再開する。管理するNPO法人「世界遺産長崎チャーチトラスト」は独自にマニュアルを作成。業務内容別に感染リスクを数値化し、高い項目については人との接触機会を減らすなどの対策を取る。