【5月23日付社説】新型コロナ・介護職員の派遣/「助け合い」で感染に備えよ

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 県が高齢者福祉施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したときなどに備え、ほかの施設から応援の介護職員を派遣する仕組みをつくった。本県独自の取り組みだ。「助け合い」事業の先進モデルとして運用してほしい。

 この仕組みは、まず県内の特別養護老人ホームなど約650の入所施設を対象に、派遣が可能な施設を登録してもらう。感染リスクを避けるため、感染が発生した施設には直接派遣せず、同じ法人の別の施設職員が回り、手薄になった施設にほかの法人職員が「玉突き」で支援に入る。小規模な施設で感染が起きた場合は、デイサービスなどの利用者を受け入れる。

 ひとたび施設の職員、入所者が感染すると、ほかの職員も濃厚接触者として出勤できなくなってしまう。そうなれば、入所者が必要とするサービスを受けられなくなり、「介護崩壊」につながりかねない。介護サービスの切れ目ない提供は、感染拡大を防止しながら、どれだけ速やかに対応できるかに懸かってくる。

 感染が発生した施設の規模や、近くに介護職員をすぐに派遣できる施設があるかどうかなどによって、対応にも工夫が求められる。県と、業務を委託する県老人福祉施設協議会、連携する高齢者関係団体は、あらゆる事態を想定し、速やかに対応できる体制を整えておくことが重要だ。

 介護職員の派遣は、県内の各施設が連携し職員を融通し合うことで、クラスターという難局を乗り切る方策だ。万が一の場合の支えとなる仕組みは、地震、台風による水害など大規模災害時にも応用できるだろう。

 県、高齢者関係団体には、この仕組みの周知を図り、多くの施設の登録を促してもらいたい。未登録の施設や、対象となっていない通所施設で感染が発生した場合などにも柔軟に対応し、手を差し伸べる必要がある。

 高齢者福祉施設の利用者は持病のある人も多く、感染してしまうと重症化や死亡するリスクが高い「感染弱者」とされる。全国では介護施設などで職員らが集団感染し、入所者が亡くなる事態が起きている。

 言うまでもないが、施設内で密閉、密集、密接の「3密」を避け、消毒やマスク着用、うがい、手洗いを励行するなどの感染防止策を徹底することが基本となる。面会を限定したり、不要不急の来所を遠慮してもらったりするなど、ウイルスの侵入を断つ取り組みも欠かせない。