テレワークが終わった「アフターコロナうつ」に要注意

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「また、これまでのような生活パターンに戻ると思うと憂鬱で仕方がない……」

東京でも新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の解除が見え始め、テレワークを続けてきた会社員の多くからこんな声が聞こえてくる。急に通常業務に戻ったとき、心配なのが「アフターコロナうつ」だという。

テレワークでは、満員電車で通勤したり、身支度や化粧も必要ない。朝食も仕事しながらとればいいから、始業ギリギリまで寝ていられる。わずらわしい社内の人間関係も最小限で済んだし、仕事中にスマホをいじってもテレビを見ても、誰からもとがめられることはない。

外出自粛や営業休止の影響が直撃している業種や自営業の人は別として、この1~2カ月間、会社員の多くは仕事に関するストレスが大幅に減った環境で働いてきた。

実際、この4月は自殺者数が激減した。厚労省によると、4月の全国の自殺者数は1455人で、前年同月に比べて約20%も減っている。最近5年間では最大の減少幅だという。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏は言う。

「例年であれば、4月は就職や進学、異動やクラス替えなどで環境がガラリと変わるタイミングです。それから5月にかけては、人間関係の悩みやプレッシャーに押しつぶされてメンタル不調を来す、いわゆる『五月病』が表れる時期です。しかし、今年はテレワークや休校によって、そうした悩みにさいなまれる人が少なかったということでしょう。それだけストレスを受けない環境で過ごしていたのに、急に元の生活パターンに戻されると、適応できずに精神的な不調や体調不良が表れる『アフターコロナうつ』に見舞われる人が続出するケースも考えられます」

もともと、夏休みや正月休みといった長期休暇明けは、うつ症状や体調不良を訴える人が増える傾向がある。また、土日明けの月曜日はうつやパニック症状が起こりやすくなり、自殺者が最も多い。「ブルーマンデー症候群」と呼ばれている。

■生体リズムを元に戻す

今回の“コロナ明け”は、急激な生活ペースの変化に加え、まだ残るウイルスへの不安、業務の縮小や不況といった経済的な不安ものしかかる。活動再開を見据えて今から対策しておいたほうがいい。

「コロナ明けのうつ症状や体調不良を防ぐためには、環境の変化に対する適応力が重要です。少しでも早く適応させるには、生体リズムをコロナ前に戻しておくことが基本になります。まずは、テレワークで崩れてしまった起床時間を元に戻し、普段通りの時間に起きてください。起きてから何もすることがなくても、散歩したり、必要なものを買いに出かけたりするなど、ルーティンワークをこなすことで生体リズムも戻っていきます。早起きしなくてもよかったテレワーク期間中は夜中に楽しんでいたゲームやビデオ観賞といった娯楽を、朝に行うようにするのもいいでしょう」(梶本氏)

体力を戻しておくのも効果的だ。

外出自粛期間中、会社員の1日の平均歩数は9000歩から約2700歩に激減していた。その分、体力は落ちていて、自律神経の働きも衰えている。体力が戻れば自律神経もしっかり機能するようになり、適応力は高まる。外出できるなら散歩が効果的で、自宅でも毎日スクワットやストレッチをして備えておきたい。

「通常勤務がスタートしてもすぐにフル回転しないようにすることも大切です。コロナの影響で業績が落ちている会社も多く、少しでも取り戻すように上司からハッパをかけられる人もたくさんいるでしょう。しかし、生体リズムが戻っていないのに無理を重ねると、自律神経がさらに疲弊して心身にトラブルを引き起こしやすくなってしまいます」(梶本氏)

アフターコロナは、適度に手を抜きながら乗り切るべし。