中国の小売販売、ライブコマースが新たなトレンドに

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中国の小売販売、ライブコマースが新たなトレンドに

 ライブ配信を行う遼寧聯萌文化伝媒のライバー(4月10日撮影、瀋陽=新華社記者/潘昱竜)

 【新華社瀋陽5月23日】許夢楠(きょ・むなん)さんは朗らかな笑い声が特徴的で「あはは姉さん」とインターネット上で呼ばれている。中国東北部で生まれ育ち、ゼロからスタートした無名のライバーから百万人のフォロワーを持つインフルエンサーへと変貌を遂げた。許さんの生活はライブコマースで一変し、今では夫とともに遼寧省瀋陽市と北京市で二つの企業を経営、300人強のインフルエンサーと契約している。

 ライブコマースは許さんのような無数のごく普通の中国人の運命を変えただけでなく、新型コロナウイルス対策という特殊な状況下で、中国人の消費習慣をも変えつつある。

中国の小売販売、ライブコマースが新たなトレンドに

 ライブ配信を行う遼寧聯萌文化伝媒のライバー(4月10日撮影、瀋陽=新華社記者/潘昱竜)

 瀋陽市のある衣料品店では、オーナーの王雪(おう・せつ)さんがチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」のグループに「みなさん、これが今日のライブ配信の2次元バーコードです。12時にお会いしましょう」と投稿すると、スマートフォンを三脚に設置し、鏡に向かって身なりを整え、ネット上での「開店」準備を行った。ここ数カ月、ライブコマースは王さんにとってほぼ「日課」となっている。だが、十数年間にわたって実店舗を営んできた王さんは「想像すらしなかった」ことだと話した。

 実店舗での商売が新型コロナの影響を受けたことで、王さんと同様に多くの業者や企業がライブコマースに新たな販売の活路を見出している。中国の大手ネット通販サイトやSNSでは、大体いつでもライブコマースが行われているのを確認できる。化粧品や果物、アパレル、家電、さらには大型トラックまで、ライブコマースが取り扱う商品の範囲は急速に広がっている。

 ショート動画共有アプリ「抖音」のスタジオでは、3月20日に建機大手の三一重工製大型トラックが2時間で186台売れた。販売額は5千万元(1元=約15円)を超え、重工業業界の「ライブコマースの奇跡」を生み出した。

中国の小売販売、ライブコマースが新たなトレンドに

 ライブ配信で商品を販売する瀋陽市のショッピングモール、万象城の化粧品店(4月13日撮影、瀋陽=新華社記者/潘昱竜)

 中国エアコン大手、珠海格力電器の董明珠(とう・めいじゅ)会長は15日、電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドットコム)のライブ配信スタジオに姿を現し、自社製品のライブコマースを行った。成約額は3時間余りで7億元を突破し、家電業界のライブコマース成約額の最高記録を塗り替えた。

 調査会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)の試算では、2020年の中国ライブコマース業界の規模は19年の4338億元の2倍に膨らむ見通しだ。

 遠く離れたアフリカの農家でさえ、中国のライブコマースの恩恵を受けている。国連アフリカ経済委員会のベラ・ソングウェ事務局長(兼国連事務次長)とルワンダのジェームズ・キモニョ駐中国大使、アリババグループの金融会社である螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の井賢棟(エリック・ジン)会長、ライブコマースプラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」の看板インフルエンサーである薇婭(viya)は14日夜、1千万人以上が視聴するライブコマースでルワンダ産コーヒーを販売、1500キロのコーヒー豆が一瞬で売り切れた。

中国の小売販売、ライブコマースが新たなトレンドに

 自身のライブ配信経験を語るインフルエンサーの「あはは姉さん」。(4月10日撮影、瀋陽=新華社記者/潘昱竜)

 国家統計局の最新データによると、20年第1四半期(1~3月)の物品のオンライン小売額は前年同期比5.9%増の1兆8536億元に達した。ライブコマースはオンライン小売額増加の重要なけん引役になりつつある。

 国家統計局の毛盛勇(もう・せいゆう)報道官は、中国の潜在購買力は大きいと説明。今後はライブコマースなどインターネットに関連する新たな消費スタイルがより急速に、力強く成長するとの見通しを示している。(記者/陳夢陽、白湧泉、李宇佳、王炳坤)