自殺防ぐ「いのちの電話」相談急増 コロナ禍で人手不足、運営ひっ迫

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新型コロナウイルスの影響を受ける中、受話器を握り続ける熊本いのちの電話の相談員

 自殺を防ぐ「熊本いのちの電話」が、新型コロナウイルスの影響でひっ迫している。不安を訴える相談が増えている一方で、相談員の活動が制約されているためだ。相談員は、もどかしさを感じながら受話器を握り続けている。

 同電話事務局によると、新型コロナに関連する相談は2月末から寄せられ始めた。同月は数件だったが、3月は十数件。4月は140件と急増し、全体の4分の1に。5月は15日時点で78件と、全体のおよそ30%を占めている。

 相談内容も変化。4月は感染や外出自粛に関する心配事が140件中95件、5月は倒産や解雇の悩みが78件中27件に上った。介護施設に入所している親と面会できないつらさや、外出自粛で家にいる配偶者からの暴力を訴える声もあった。

 実働する相談員約90人のうち、現在、事務所に通うことができるのは約70人。残る約20人は、公共交通機関を使わざるを得なかったり、医療の仕事から離れられなかったりといった事情を抱える。相談員はもともと減少ぎみで、新型コロナにより、さらに苦境に立たされた格好だ。

 通常、2回線ある電話も人手不足で1回線に絞らざるを得ないことも多い。相談員が不在の時間帯は、県外のいのちの電話へ転送することになる。ただ、県外も同じような状況のため、県外から熊本にかかってくる電話も多いという。

 相談員はボランティアで、カウンセリングの基礎や相談対応の技術などを学ぶ必要があるが、5月中旬に始まる予定だった養成講座は「3密」(密閉、密集、密接)を避けるため開講できない状態。4月末で締め切るはずだった今期の相談員募集は5月末まで延長して受け付ける。

 事務局長の赤星敦さん(73)は「自殺をほのめかす電話もあり、コロナの影響は深刻。電話相談を続けるために、ぜひ協力を」と訴えている。熊本いのちの電話事務局TEL096(354)4343。(緒方李咲)