二時間サスペンスの時代を確固たるものとした岩崎宏美のエンディングテーマ

1982年 5月21日 岩崎宏美のシングル「聖母たちのララバイ」がリリースされた日

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岩崎宏美が歌った二時間ドラマ主題歌「聖母たちのララバイ」

皆様も新型コロナウイルスの禍には様々な形で巻き込まれているかと存じますが、いかがお過ごしでしょうか。私も例外なくそれに巻き込まれてしまった結果 “Stay Home” していたわけですが、そうなるとやる事も限られた中、ついついテレビに釘付けになる時間も自ずと増えていくわけでして…。

その中でついつい見てしまったのがいわゆる “二時間サスペンス” というジャンルのドラマ群であります。山村美紗、西村京太郎を筆頭に松本清張、横溝正史等々。俳優はといえば “女王” 片平なぎさ、“帝王” 船越英一郎を筆頭に、これもまた様々であります。このままドラマの話を続けたいところではありますが、ここは音楽サイトの Re:minder でございますのでいよいよそちらに舵を切って参ります。

かつては各局がしのぎを削る群雄割拠たる様相を呈していた二時間サスペンス枠ですが、今回取り上げさせていただくのは、CMの時のアイキャッチャーも印象的だった『火曜サスペンス劇場』であります。その開始時のエンディングテーマとして起用されたのが「聖母たちのララバイ」を歌った岩崎宏美さんだったわけですが、その後6曲の主題歌を担当されています(うち1曲の「愛という名の勇気」は益田宏美名義)。

日テレ系「火曜サスペンス劇場」のテーマソングを集めた「Anthology」

私がなぜここに惹かれてしまったのか… という話は、ある日見ていたドラマのエンディングテーマが「25時の愛の歌」という曲で、これのレコードを手に入れたいなあと思ったところからはじまります。

調べたところ「25時の愛の歌」は、いわゆる7インチシングルというフォーマットでは発売されておらず、なんと『Anthology』というタイトルの12インチシングルとして発売されていたのです。しかも、収録されている4曲のがすべてそれまでの『火曜サスペンス劇場』のエンディングで歌われたテーマソングだというではありませんか。

これは誰得? いやいや俺得じゃん! ということで早速入手したわけであります。もちろん Stay Home の最中なので入手方法も通信販売的な何かで。…… そこで、収録されている曲のご紹介をさせていただきたいと思います。

1. 25時の愛の歌

作詞:山川啓介 作編曲:木森敏行
とても歌詞の内容も大人っぽく、岩崎宏美さんのアダルトな魅力満載のメロウなテイストを持った曲です。随所に現れる伸びやかなハイトーンが魅力的。シンガーとしての円熟味が溢れています。

2. 橋

作詞:山川啓介 作編曲;木森敏行
この曲は、成就できなかった恋愛を切なく歌い上げるラブソングの様でありながら、その実、二時間の間に繰り広げられたドラマのストーリーを思い起こさせるような立て付けになっているように思います。この曲がエンディングテーマであるがために、そのドラマが如何に殺伐とした展開、内容であってもさわやかな余韻で見終えられるのではないかと思います。

3. 家路

作詞:山川啓介 作編曲:木森敏行
「聖母たちのララバイ」と地続きなテイストを感じる曲です。どうやら浮気をしてしまった相手を許していつ戻ってきてもいいのよ、という女神のようなメッセージが込められております。このような曲を情感込めて歌い上げる彼女はやはり素晴らしいと思えてなりません。

4. 聖母たちのララバイ

作詞:山川啓介 作曲:木森敏行, John Scott 編曲:木森敏行
言わずと知れた名曲であります。ドラマ開始当初にはエンディング用の1コーラスしか無かったのですが視聴者からの反響が大きく、急遽シングルが作成されたというストーリーはご存じの方も多いかと思います。

歌詞の内容も『火曜サスペンス劇場』のプロデューサーからのオーダーがあったようで、テーマはズバリ「マザコン」ということでした。展開もドラマチックで “歌姫・岩崎宏美” の存在感を確固たるものとしたことはご存じの通りかと思います。

ところで、この曲だけ作曲のクレジットが違うのですが、どうやらとある映画の劇中歌に似ているというクレームがあり、その結果併記することになったようですが、このような話、他にも聞いたことがありますね…。

その後は、杉山清貴、柏原芳恵、竹内まりや、真璃子、高橋真梨子…

さて、ここまで解説をお読みいただいたところで、それとない違和感をお持ちになった方、そうあなたはまさに “火曜サスペンス劇場通” と言っても過言ではございません。

この『Anthology』という12インチシングル、収録順序が “テーマソングとして起用された順番と逆” なんです。これは恐らく最新曲であるところの「25時の愛の歌」からエンディングテーマの歴史を振り返る、という意図があったのかなあ… と勘ぐってみたりしますが本当のところは如何なのでしょうか… この謎解きは皆様で楽しんでいただければと思います。

その後、杉山清貴、柏原芳恵、竹内まりや、真璃子、高橋真梨子等々多数のアーティストが『火曜サスペンス劇場』のエンディングでテーマソングを歌うことになりましたが、その突端を切り拓いた岩崎宏美さんの功績は偉大であったと言わざるを得ません。皆様もお時間に余裕がございましたら是非 “二時間サスペンス”、お楽しみになってみてくださいませ。

カタリベ: KZM-X