フジ宮司愛海アナが野球に魅了された日 懐かしき福岡ドームと奥深き「配球論」

フジテレビ「S-PARK」などを担当する宮司愛海アナウンサー【写真提供:フジテレビ】

宮司アナが野球に触れたのは小学生の頃のダイエーホークス

【私が野球を好きになった日21】
本来ならば大好きな野球にファンも選手も没頭しているはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で各カテゴリーで開幕の延期や大会の中止が相次ぎ、見られない日々が続く。Full-Countでは選手や文化人、タレントら野球を心から愛し、一日でも早く蔓延する新型コロナウイルス感染の事態の収束を願う方々を取材し、野球愛、原点の思い出をファンの皆さんと共感してもらう企画をスタート。「私が野球を好きになった日」の第21回は、フジテレビでスポーツニュース番組「S-PARK」などを担当する人気女性アナウンサーの宮司愛海さんだ。

福岡県福岡市出身の宮司さんにとって、野球との出会いは当然、地元の雄であるホークスだった。当時はまだダイエーホークスの時代。王貞治球団会長が監督としてチームを率い、工藤公康監督や小久保裕紀、城島健司、井口資仁、松中信彦ら錚々たるメンバーが活躍していた頃だった。

「野球は小さいころから身近にありました。テレビでホークスの試合を見ていたのが野球との出会いです。小学校低学年の頃から、ドームに野球を見に行くこともありました。今から20年くらい前ですね。ルールはあまり分かっていませんでしたが、球場の雰囲気が好きでした。選手の応援歌に合わせてメガホンを叩いたり、声を出して応援したり、あの一体感が好きでした。」

お気に入りは鳥越裕介内野手(現ロッテヘッドコーチ)の応援歌だった。「鳥越さんの応援歌が好きだったのを覚えています。今、ロッテのコーチをされていて、直接お話をさせていただくこともあったのですが、感慨深かったですね。まさか、あの時応援歌を歌っていた自分が20年後に実際にご本人とお話をさせていただけるとは思ってもいなかったので……」。20年の時を経て、実際に鳥越コーチと話せたことは驚きだった。

とはいえ、宮司さんはフジテレビに入社するまでは、あまりルールなどは分かっていなかったという。早稲田大出身で早慶戦の応援に何度も行っていたが、もっぱら“雰囲気”重視。「球場の雰囲気を楽しみに行っていましたね。外で飲むビールが凄く爽快で好きで、試合に没入するというよりも雰囲気を楽しむ方でした」。大きな転機となったのはフジテレビ入社、そして「S-PARK」の担当になったことだった。

「スコアブックを書きながら試合を見ると、記録に残らない駆け引きだったり、奥深さがありますよね。試合を通しての流れを感じながら見るというのは凄く面白いことだと思いました」。2018年4月から「S-PARK」を担当するようになり、野球の奥深さ、難しさを痛感。それと共により一層、野球の面白みが分かるようになった。

フジテレビ「S-PARK」などを担当する宮司愛海アナウンサー【写真提供:フジテレビ】

印象深い2019年の日本シリーズ、坂本勇人を封じた甲斐拓也の配球

その中でも特に宮司さんが感じるのは「配球の奥深さ」だという。「S-PRAK」の解説には元横浜、中日で活躍した名捕手・谷繁元信氏がいる。「谷繁さんから配球のこと教えていただき、そんなに細かい駆け引きをしながら、ピッチャーとキャッチャーの人は試合をしているのか、とビックリしました。打者もただ闇雲に打っているわけじゃない。自分が思っていた以上に野球は打つだけのスポーツじゃないんだな、と日々感じています」。学びの日々を送っている。

番組を担当するようになって2年間、様々な経験をした。その中でも印象深い出来事として、ソフトバンクが4連勝で巨人を破り、日本一となった昨季の日本シリーズの出来事を挙げる。その中でも、特に巨人打線を封じた甲斐拓也捕手のリード。坂本勇人内野手をまず第一のポイントに挙げ、シリーズ序盤に徹底的に内角を突いて坂本の打撃を狂わせた。丸、岡本と巨人の中軸に仕事をさせず、4連勝での日本一を呼び込んだ。

宮司さんは第4戦の試合後、甲斐にこの坂本らへの攻め方について取材した。「第4戦の後、甲斐さんにお話を伺いました。坂本選手を抑えるということ、それが短期決戦の1つのテーマだったという話をされていて、それが凄く印象に残っています」。まさに宮司さんが野球の“奥深さ”として感じていた配球論そのものだった。

仕事を通じてその魅力を改めて感じさせられた野球。これまで当たり前に日常としてあったものが、新型コロナウイルスの感染拡大によって見ることのできない日々が続く。「寂しいですよね。野球って常にやっているじゃないですか。夜は野球を見る、球場の応援が聞こえるというのが普通だったので、それがないのが寂しいですよね。グラウンドで練習を見られること、試合を見られること、選手の方々のお話を聞けること、贅沢でありがたいことだったなと痛感しています」。宮司さんにとっては試合速報をチェックするのも日課。それがない今の日々は物足りなさが募る。

物足りなさを感じているのは全国の野球ファンもきっと同じ。そんなファンに向けて宮司さんはメッセージを送る。「野球がやっていることが日常になっていたので、この状況で寂しい思いをしているファンの人も多いと思います。ですが、待てば待つだけ楽しみが大きくなると言いますか、日常が帰ってきた時の喜びは大きいと思います。その時を楽しみに、一緒に野球が帰ってくる日を待ちましょう」。我慢の日々が続くが、それは誰もが同じ。いつか必ずやってくる開幕の日を楽しみに待とうではないか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2