【インタビュー】問われる未来の選択 戦争遺跡保存全国ネットワーク 共同代表 出原恵三さん(64)

©株式会社長崎新聞社

出原恵三さん

 戦争遺構の調査、保存に取り組む「戦争遺跡保存全国ネットワーク」(本部・長野市)の出原恵三共同代表(64)に、その役割や活用のあり方を聞いた。

 -戦争遺構の役割は。
 戦争の実相を伝える上で視覚に訴える遺構の存在は非常に有効だ。戦後75年が過ぎようとし、戦争体験者がいよいよ減少する中で、歴史と空間を共有できる戦争遺跡が果たす役割は、ますます大きくなっている。

 -遺構の活用で留意する点は。
 物言わぬ遺跡に何を語らせ、伝えていくかが重要。軍事施設や戦跡を観光に活用することで、多くの人々が見に来ることには賛成だが、歴史が死んでしまっては意味がない。
 軍事施設跡で「誇るべき日本の技術力」、特攻基地跡で「国難に立ち向かう若者たち」ばかりを強調するのではなく、それぞれが戦争でどう使われたのか、といった背景と一緒に伝えなくてはならない。小さな防空壕(ごう)であっても、国内で完結するものはなく、国際性を帯びている。戦争の暗部や負の側面も視野に入れ、東アジアの近代史の中で位置付けていく必要がある。

 -老朽化が進む遺構もあるが、どのように残していくべきなのか。
 本来は行政が文化財と捉え、保存や修復をすべきだろう。1995年に文化財保護法の指定基準が改正され、第2次世界大戦以降の遺跡の保存にも法的根拠が生まれた。取り壊されそうになった戦争遺跡が、草の根の市民運動によって残された例もある。戦争遺跡への向き合い方で、自治体がどんな未来を選択するかも問われている。