元中日ドラゴンズ山﨑武司氏、古巣・楽天に恩返しできたときの「あの1球」

東海ラジオ『ドラゴンズステーション』で、野球解説者の山﨑武司氏が話した「記憶に残るあの1球」(5月19日18:00頃~)。2013年5月17日、ナゴヤドームでの中日対楽天戦。3対2とリードされて迎えた9回裏、1死、走者2塁3塁、代打で登場した山﨑氏は、劇的な逆転サヨナラタイムリーヒットを放った。楽天・青山投手の渾身の1球を見事にレフト前にはじき返したのだ。

「古巣への恩返し」の絶好の舞台

山崎氏は、2011年まで楽天でプレーしていた。9回裏、1死、走者2塁3塁、いわゆる“古巣に恩返し”するには絶好の場面での代打起用だった。この場面、1塁が空いていることで、勝負してこない可能性もあったが、山﨑氏は「次のバッターは大島、(楽天)星野監督は、絶対に(自分と)勝負してくる」と確信していたという。

1ボールからの2球目、楽天・青山が投げた球はインコースのシュート。山﨑氏の一番苦手な球が来た。しかし「あんなにきれいにシュートを打ったのは、プロ野球人生で一番」という打球はレフト前へ。「アドレナリンが出まくった」という会心の1打だった。

楽天・星野監督大激怒

「鮮明に覚えている」という山﨑氏は、スタジオで、その場面を振り返りながら「これには、後日談があって…」と続けた。試合後、楽天の嶋捕手から電話があり「武司さん、大変なことになってます。星野監督がすごかったんです。僕、本当に、メチャクチャ怒られました」という内容だった。そのとき山﨑氏は「星野監督が半端なく怒っている姿が目に浮かぶようだった」「してやったりだな」と思ったという(笑い話)。

山﨑氏の読み勝ちだったが

「星野監督の(山﨑勝負の)指示、(バッテリーの)内角シュートの選択、全然間違っていない。普通だったら、あのインコースは打てない。青山のシュートはいい。嶋はシュートで詰まらせる組み立てをしてくるだろう」山﨑氏は、インコースの球を頭に入れていたというが、自分でも驚くぐらいのいいバッティングができたとのことだ。

「打った瞬間、うれしかった」山﨑氏は、次の瞬間、ふと我に返って「青山と嶋、大丈夫かなあ」と思ったという。案の定、嶋からの電話連絡で星野監督の怒りを知り、嶋に「やっぱりそうか。ごめんな」と言ったそうだ。星野監督をよく知る山﨑氏の頭には、喜びの直後に、指揮官と後輩のことが頭に浮かんだのだ。

かわいい後輩たちへの思い

山﨑氏は、楽天時代にチームを強くしたいために、あえて厳しく後輩指導に当たった。その思いに応えて、ついてきてくれた選手のうちのふたりが青山と嶋。嶋は、今シーズンから東京ヤクルトに移籍して再起を誓う。青山も現役を続けている。山﨑氏は「彼らの活躍する姿を見たい」とエールを送った。

東海ラジオのプロ野球解説者がコメンテーターを務める『ドラゴンズステーション』(月~金16:00~19:00)。番組の中の「記憶に残るあの1球」のコーナーでは、解説者が、現役時代・コーチ時代を通して経験した、今でも鮮明に記憶に残っている試合や出来事を紹介している。山﨑氏のほか、ドラゴンズステーション東海ラジオのプロ野球解説者は、権藤博氏、鈴木孝政氏、鹿島忠氏、山本昌氏、谷繁元信氏、大西崇之氏、井端弘和氏、森野将彦氏、など。

ドラゴンズステーション

放送局:東海ラジオ

放送日時:毎週月曜~金曜 16時00分~19時00分

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