月刊【道の駅Webマガジン】vol.07~地域商社(by植草)~

みなさんこんにちは!
一般社団法人 全国道の駅支援機構 です。
本記事は、過去セミナーにご参加頂いた皆様当機構理事のメンバーと名刺交換をさせて頂いた皆様にご挨拶と今後の道の駅に関する情報提供のためにお送りしたメールマガジンより転載しております。

皆さん、こんにちは。全国道の駅支援機構 理事の植草 茂樹(うえくさ しげき)です。
あっというまに1月も終わろうとしていますが、全国的に雪が少ないということで、ご苦労されている地域も多いようです。気候の変動の影響は、レジャーだけではなく、農産物・海産物の生産にも影響が及んでいます。今回のテーマは道の駅が地域の生産物の販路を拡大する「地域商社」を取り上げたいと思います。

地域商社ってなに??

みなさん、「地域商社」というキーワードを聞かれたことはあるでしょうか?
一般的に商社といって思い浮かべるのは〇〇商事などで商品を仕入れて小売店や飲食店に卸す会社ですが、地域商社の役割とは「農産物・工芸品など地域に眠る魅力ある産品やサービスの販路を、生産者に代わって新たに開拓し、1円でも高く生産者から産品を買い取れるよう、市場から従来以上の収益を引き出す役割」が期待されています。(出典:内閣府)実は全国で100以上の地域商社がありますが、その実情はいろいろ大変のようです。

なぜ、「道の駅」の話なのに地域商社が関係するのか?と思われるかもしれませんが、この役割を道の駅が果たすことが増えているからなんです。最近、百貨店などの物産展で、道の駅が出展しているケースが多くあります。中には、「道の駅エクスポ」などのように道の駅だけを集めた催事もあります。まさに道の駅が核となり生産者に代わって販路を開拓しており、地域商社機能を果たしている事例です。

なぜ、道の駅が催事に期待されているのか。実は以下のような理由があります。

百貨店などの流通構造

実は日本全国各地域で物産展ができるわけではないのです。各百貨店も地域ごとに生産者を取りまとめてほしいのですが、中には取り纏めができない地域もあり、この地域は物産展そのものができないというケースがあります。道の駅は生産者を取りまとめする機能としてはぴったりの存在なんです。百貨店側も各生産者と個別に一時的な口座を開かなくて済むので、事務負担も軽減されることもあります。

生産者側の人手不足

小さい生産者・メーカーが1社1社首都圏などに催事のために1週間、人を派遣するというのは、今後人手不足のため益々難しくなると思います。そもそも1週間スタッフを派遣して1社で元を取るところまで売上ができる生産者はめったにいません。催事を嫌がる生産者は増える中、道の駅を通じた出展ならば、各社の人を派遣しなくても、地域の生産者の魅力を代弁してくれる存在になるのです。

物産展の本質的な課題

物産展は食材は各地域から持ちより、その地域感を表現することは一応できています。しかし首都圏にはアンテナショップも相当増え、地域のこだわりを集めるお店も増えましたので、消費者は各地域の物産展に飽き始めてます。物産展は各地域から「モノ」を集めているのですが、「モノ」だけ集めて売れる時代ではなく、そこで百貨店が悩んでいるのが「地域感を出す」コトづくりで、これは生産者だけでは限界があります。

そこで地域で様々な観光やイベントを行う「道の駅」の出番なわけです。生産者を集めただけの物産展ではその地域に行こうと思わせるのは難しいですが、そこに「道の駅」がいるだけでその道の駅のイベントに今度行ってみようという気にさせることができるのです。道の駅にとっても、催事でただ売るだけではなく、「今度道の駅に来てください」と声かければ来店の動機付けになります。

道の駅は、地域商社的な事業や価値を提案することで、道の駅そのものの売上貢献につながるかもしれません。是非、参考にしてみてください。

ここがすごい道の駅
「ろまんちっく村(栃木県宇都宮市)」
http://romanticmura.com/

「地域商社」といえば、ろまんちっく村という道の駅を運営する㈱ファーマーズフォレストがよく紹介されています。道の駅として最大級の46haという広大な敷地で、物販・飲食・温浴・宿泊だけではなく、ビール工房・農業体験やドックランできる環境が整っています。観光客はもちろんですが、平日に地元の人が来てもらう仕組みを作っていて、道の駅の売上を支えているのです。「トチギフト」という通販冊子では、栃木県の様々な商品はもちろん、地元の旅館ホテルなどとの連携したコラボ商品も多く、まるごと栃木県の魅力が伝わるような冊子になっています。

地域商社の仕組みとしては、栃木県内を循環できるトラックの配送体制を完備し、中々集荷できない生産物を代わりに集める仕組みも用意されているほか、都内にアンテナショップの運営や都内のスーパーの直売コーナーに野菜を運ぶ仕組みも構築しています。さらに会社としては、沖縄で道の駅を運営していますが、栃木県―沖縄県での流通の仕組みを構築されつつあり、栃木の道の駅で沖縄の物産も買えるのです。季節がずれることで道の駅同士の補完・相乗効果を生むことを目指されています。

今後、物流費の高騰が地域の課題になりつつありますが、生産者が集まる拠点としての道の駅が物流機能を持つことにより、地域の課題解決につながるという視点はどの道の駅でも考えなければならないテーマかもしれません。

(植草茂樹公認会計士事務所所長)
1975年生まれ。公認会計士。大手監査法人にて農林漁業分野、教育分野を中心に、様々な企業・自治体・大学などの会計監査・コンサルティングを担当。その後、農林水産省の6次産業化を支援する外郭団体である「㈱農林漁業成長産業支援機構」に5年間勤務し、農林水産省「6次産業化中央サポートセンター」のアドバイザーとなる。6次産業化の課題解決につながるという想いから、全国道の駅支援機構の理事に就任し活動を行っている。東京農業大学客員研究員。文部科学省関連の委員多数歴任。元総務省参与。

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