「つなぐBANK」ひとり親の支えに コロナ禍、食材など緊急提供

 ひとり親家庭を総合的に支援する「つなぐBANK」(長崎市)は24日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で減収に苦しむ市内の120世帯へ食材と生活必需品の提供を始めた。企業などから支援を受け、地域で支えていく取り組み。8月まで毎月1回、提供を続ける。

 つなぐBANKは、一般社団法人ひとり親家庭福祉会ながさきが昨年10月に結成した。食材を配布する「宅所」を設け、昨年12月から児童扶養手当を受給している家庭(106世帯、今回の120世帯とは別)に食材や学用品を定期的に無償で提供している。専門スタッフが困り事の相談にも応じ、ひとり親家庭を支えている。
 同法人によると、ひとり親家庭はパートで働く人が多く、コロナ禍で仕事に入れず収入が減っているケースが少なくない。ひとり親家庭からは「食材を提供してもらえれば、その分を他の必要品の購入費に回せる」との切実な声が届いたという。
 今回の支援は、宅所を設けて定期的に行っている支援の枠組みとは別に緊急的に実施。児童扶養手当を受給している家庭を対象に希望者を募った。毎月、米5キロや食パン、野菜詰め合わせ、菓子など5千円相当の品を120世帯分用意する。提供する品は県内企業や大手メーカーなどからの寄付で賄う。新型コロナウイルスの影響で需要が減った土産菓子の提供もあったという。
 同日は、事前に申し込みを済ませた人が次々と会場を訪れた。提供を受けた長崎市のパート従業員の女性(29)は「(コロナ禍で)仕事が休みの日が増えている。食材があればお金を他に回すことができ、助かる」と喜び、両手いっぱいに食材などを抱えて会場を後にした。
 同法人の山本倫子事務局長(51)は「先行きが見通せず不安だと思うが、ひとり親世帯を支えてくれる人はいる。困ったことは相談してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同法人(電095.828.1470)。

 


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