上がり框(あがりかまち)とは?リフォームで玄関の使い勝手を向上させる方法

上がり框(あがりかまち)は、日本のほとんどの玄関に設置されていますが、上がり框が玄関のどの部分なのかご存知ない方も多いようです。この記事では、上がり框の意味や、リフォーム、リノベーションする際のポイントをご紹介します。

《目次》- 上がり框とは?その役割と必要性

上がり框とは?その役割と必要性

上がり框とは、玄関の段差の部分に取り付けられた横長の木のこと

上がり框とは、玄関の靴を脱ぐところである三和土(たたき)と、上がり口の段差の部分に取り付けられた横木のことです。上がり框は、玄関に入って一番に目に付く場所であり、玄関の印象を左右するため、昔から重視されてきました。昔ながらの日本家屋や戸建て住宅だけではなく、高さやデザインは異なりますが、ほとんどのマンションやアパートなどの建物の玄関にも、上がり框は設置されています。

日本建築ならではの、上がり框の役割には、どのようなものがあるのでしょうか? ご存知の通り、日本には、室内に入るときに靴を脱ぐ習慣があります。そのため、上がり框には、家の外と内を分けるという役割があります。

また、昔の日本家屋の上がり框は、腰掛けて座れるほどの高さであることがほとんどでした。上がり框に座り、近所の人とおしゃべりを楽しみ、コミュニケーションの場としての役割を果たしていたのです。

上がり框は、玄関を美しく見せるという役割もあります。玄関は、人の往来が多い場所であり、耐久性を高めるためにも、上がり框が必要なのです。

上がり框のリフォームポイントは「高さ」

上がり框をリフォームするときの注意点は、高さです。家族構成などを考えながら、住まいに適した誰もが使いやすい上がり框にリフォームしましょう。とくに高齢者のいる家庭では、上がり框のリフォームをする際には、さまざまな注意が必要になります。

介護で車椅子を使用する場合は低めに

高齢者がいるご家庭で、上がり框をリフォームするときには、バリアフリーについて考慮する必要があります。介護などで車椅子を使用するとき、移動がスムーズに行えるように、上がり框の高さを低めにリフォームするといいでしょう。上がり框をスロープにリフォームするのもおすすめです。

高齢者が歩ける場合は、腰掛けることができるくらいの高さの上がり框が最適です。上がり框を低くしすぎると、座った状態で靴を履きづらくなってしまうため要注意。高齢者がいる場合は、上がり框のリフォームと併せて、玄関に手すりを設置したり、座って靴を履きやすいようにベンチを設置したりするとベストですね。省スペースで設置できる折り畳み式のベンチもあります。

戸建て住宅とマンションでの基準の違い

国土交通省は、バリアフリー住宅の上がり框の高さの基準を定めており、戸建て住宅の場合は18センチ以下、マンションなど集合住宅の場合は11センチ以下となっています。この基準の高さを目安に、上がり框のバリアフリーリフォームを検討してみるといいでしょう。

上がり框のデザインの種類

斜め形状の上がり框は、視覚効果で空間を広く見せるだけでなく、使い勝手もいい

上がり框のデザインは、さまざまです。マンションなどの集合住宅では、段差の縁が直線状になっているストレートタイプが主流となっています。斜めや曲線の縁になったデザインが特徴のカーブタイプは、土間を広く見せてくれます。上がり框のデザインは、ほかにもコの字型やL字型などもあり、玄関の形状にマッチしたものを選べます。

式台で段差をつける

上がり框の段差が高い場合は、三和土との間に「式台」を設置して、段差をつけることも可能です。式台で段差を作れば、高齢者や小さな子どもでも、玄関がより使いやすくなります。式台に玄関マットを敷けば、滑りにくくなり、安心です。さらにセンスのよい玄関マットを式台の上に敷けば、玄関インテリアをおしゃれに仕上げることもできます。

斜めにするとおしゃれで広々とした空間に

上がり框のデザインの中でも、最近とくに人気が高くなっているのが、斜めの形状です。斜め形状の上がり框は、狭い玄関を広く見せてくれる視覚効果があります。また、斜めの形状にすることで、直線が長くなるため、複数で一度に玄関を使用できるようにもなります。斜め形状の上がり框は、個性的なデザインでアクセントになるため、おしゃれな玄関づくりをしたいという方にもおすすめです。

付け框は上がり框と素材を揃えると、統一感が出る

付け框とは、上がり框と同じ高さにある、土間の仕上げ材と壁の仕上げ材の、見切りの役割をしている板のことです。上がり框と付け框の素材を同じものに揃えると、統一感が出て、とてもおしゃれになります。上がり框をリフォームするときは、ぜひあわせて付け框も同じ素材でリフォームしましょう。

上がり框に使われる素材とそれぞれの特徴

あえて素材を変えることで、フローリングとの違いを楽しむことも

上がり框には、さまざまな素材が使用されています。素材によって、玄関インテリアの雰囲気がガラリと変わります。代表的な上がり框の素材と、それぞれの特徴についても知っておきましょう。

木材

上がり框の素材のなかで、もっとも人気が高いのが木材です。化粧材は強度があり丈夫で木目が美しいデザインが多く、フローリングの廊下との相性もぴったりです。とくに時の経過とともに風合いの変化が楽しめる、無垢材の上がり框は人気です。

無垢材の取り扱いに詳しいクロニクル建設の江藤さんによると「上がり框も無垢フローリングと同様に、ふだんのお手入れは乾拭きでOKです。ただ、水に濡れたらすぐに拭き上げるなど、ちょっとしたお手入れのコツは必要です」とのこと。

石材の上がり框の素材では、洗練された美しいマーブル模様が特徴の大理石や、カラーバリエーションが豊富で、耐久性にも優れた御影石などが人気です。石材は、それぞれの素材によって特徴やお手入れ方法が異なるため、デザインだけではなく、注意点などもしっかりと把握してから、選ぶようにしましょう。

フロアタイル

上がり框に下地を塗り、フロアタイルを貼るのもおすすめです。フロアタイルは、デザインのバリエーションが豊富で、リーズナブルな価格で、リアルな素材感を表現できるのが、大きな魅力です。また、フロアタイルは、傷や汚れにも強く、お手入れも簡単にできます。お好みのデザインも見つけやすく、気軽に上がり框のリフォームにトライすることができますよ。

施工期間と費用の目安

工務店などに相談し、しっかり見積もりを。工事は1日で終わる場合もある ### 「リフォーム框」を使用した簡単DIYリフォーム

L型框ともよばれている「リフォーム框」を使用すれば、気軽に上がり框のリフォームができます。「リフォーム框」は、既存の框のうえから、重ねるようにして貼り付けて使用します。

デザインが充実しており、価格も6000〜2万円くらいで手に入り、リーズナブルな価格での上がり框のリフォームが可能です。「リフォーム框」を購入して、自分でDIYすることもできます。

「リフォーム框」を使用した上がり框のリフォームは、あくまで重ねて貼り付けて、傷んだ上がり框の見た目を美しくリフォームすることが目的であるため、段差を変えることはできません。玄関の雰囲気をちょっとおしゃれに変えたいときに、おすすめです。

バリアフリー上がり框にするリフォーム

家族に高齢者がいる場合は、上がり框をバリアフリー化するリフォームが必要になります。上がり框のバリアフリー化リフォームで、一般的なのがスロープ化です。上がり框のスロープ化工事は、セメントで型から形成する場合、費用はかなり高額になってしまいますが、既製品のスロープを使用すれば、費用を安くおさえることができます。

バリアフリー化のリフォーム工事費用は、10万〜30万円ほどの予算をみておきましょう。セメントで工事を行う場合は、さらに費用が高くなることもあります。施工期間も長くなり、1ヶ月くらいはかかります。また、スロープ化する場合は、玄関のたたき部分が狭くなってしまうので、注意が必要です。

上がり框の高さ・デザインをリフォーム

上がり框の高さを低くしたい場合や、斜めのデザインに変えたい場合は、大掛かりな工事が必要となるため、リフォーム費用は高額になります。上がり框だけでなく、玄関や廊下の下地から玄関ポーチまで、玄関まわりすべてをリフォームしなければなりません。リフォームする規模が広くなり、大掛かりな工事を行わなければならないため、費用は、50万〜100万円くらいはかかってしまいます。施工期間も、1ヶ月以上を要することがほとんどです。上がり框の高さやデザインをリフォームしたい場合は、工務店などに相談し、まずは見積もりをお願いしてみましょう。

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