中国外相、アメリカが「陰謀論」拡散と批判 新型ウイルス

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中国の王毅外交部長は24日、新型コロナウイルスについてアメリカが「陰謀論やうそ」を拡散していると非難した。アメリカは「政治ウイルス」にかかっており、中国を繰り返し批判していると述べた。

その上でアメリカに対し、新型ウイルス対策で「時間や尊い命を無駄にしない」よう求めた。

11月に大統領選を控えているドナルド・トランプ米大統領は自身の新型ウイルス対策を批判されている一方、COVID-19の流行を隠ぺいしたと中国を非難している。

しかし王外務部長はこれについても、新型ウイルスが発見された昨年12月以降、中国は世界の公衆衛生を守るために責任ある行動をしてきたと繰り返した。

現在開かれている全国人民代表大会(全人代)の記者会見で王外交部長は、「アメリカ国内の一部の政治機関が、米中関係を人質にとっている」と指摘した。

王氏はこの政治機関について特定はしなかったものの、「両国を新しい冷戦の瀬戸際に追いやっている」と批判。「アメリカには新型コロナウイルスによる惨状だけでなく、政治ウイルスも広がっているようだ」と述べた。

「この政治ウイルスは中国を攻撃し、中傷するためのあらゆる機会に使われている。一部の政治家は基本的事実を完全に無視し、中国を標的にしたあまりにも多くのうそをでっち上げ、さらに多くの陰謀論を作り出している」

一方で、新型ウイルスの流行について、米中が協力すべきだとも述べている。

「我々はともに、世界の平和と発展について大きな責任がある。中国とアメリカは協力によって利益を得るし、対立で失う」

米中関係と新型ウイルス、現在の状況は?

トランプ大統領と中国政府はここ数週間、新型ウイルス対応について非難のやり取りを繰り返している。

焦点となっているのは、世界保健機関(WHO)の対応から、中国が流行を隠ぺいした疑惑をめぐる訴訟の可能性まで多岐にわたる。

さらに、通商や香港をめぐる国家安全法などについても対立し、緊張が高まっている。

王外交部長は、新型ウイルス対応をめぐる訴訟はアメリカの「白昼夢」で、前例がないものだと一蹴した。

また、アメリカの非難の対象となっているWHOとテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長を擁護した。

トランプ大統領は先週、WHOは「中国の操り人形だ」と持論を展開。資金を恒久的に引き上げると通告した。

テドロス氏は、WHOの新型ウイルス対応についての調査を受け入れている。

こうした中で王氏は、中国はWHOを全面的に支援すると発言。「WHOを支援することは命を救うことだ。良心のある国が選ぶべき選択肢だ」と話した。

WHOは中国にアウトブレイクに関する国際科学調査を受け入れるよう要請しているが、王氏はこれについては触れなかった。

アメリカの中国批判

新型ウイルスは昨年12月に中国・武漢で発生。食品市場がその発生源だと言われている。

しかしアメリカの一部の政治家は、このウイルスはコウモリのウイルス研究をしていた武漢の研究所から出たものだと主張。中国政府はこれを否定している。

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は5月初旬、ウイルスが武漢の研究所から発生した「証拠が大量にある」と話していた。しかしその後は一歩引き、「武漢で発生したことは分かっているが、その場所や人物については知らない」と述べている。

23日には武漢ウイルス研究所の王延軼所長が中国の国営メディアで、新型ウイルスが同研究所から流出したという話は「まったくのでたらめ」だと話した。

王所長は、研究所では「コウモリから採取したコロナウイルスを隔離・保管している」と述べたが、これはCOVID-19を引き起こしているウイルスとは全く別物だと強調した。

駐英中国公使の陈雯氏は4月、BBCのテレビ番組に出演した際、アウトブレイク発生源を特定する調査を求める声は政治的意図に基づいているものだと指摘。そのような調査は新型ウイルスとの戦いから目をそらし、資源を奪うだけだと話している。

(英語記事 China accuses US of spreading virus 'conspiracies'