麒麟・川島、“写真で大喜利”創作の裏側を語る「りんたろー。くんは情報があふれ出ていて…」

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5月25日(月)、麒麟・川島明が『#麒麟川島のタグ大喜利』(宝島社)を発売します。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

自身のInstagramに、「ハッシュタグで芸人仲間を想像紹介」する“#大喜利”を投稿していた川島。その面白さはすぐに話題となり、雑誌『smart』(宝島社)でも同テーマの連載が行なわれていました。

それらをまとめた本著には、これまで反響の大きかった作品に加え、ここでしか見られない初出しネタも。さらに、対象となった芸人からの返信コメントも掲載しており、さまざまな角度で大喜利を楽しめる1冊となっています。

発売に際し、ラフマガでは、著者である川島にインタビューを実施。“#大喜利”の誕生秘話や、作成中のエピソードをたっぷりと聞いてきました。

マイルールは「自分が好きな人であること」

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――今回、本には60人の芸人さんの投稿が掲載されています。“この人を載せよう”というのはどんな基準で決められたんでしょうか?

“自分が好きな人”が基準です。公私ともに仲がよくて、お笑いも面白いし、人間性もいいし、人として好きやなっていう人を取り上げるのをマイルールにしていました。自分の創作意欲が掻き立てられつつも、“この人、好きだな”っていう感じで。

――1枚の画像から、あれだけのタグを考えるのは大変なのかなと思ったのですが、筆がのるときと、意外と苦労するときとあるんでしょうか?

タグをつけやすい、つけにくいというのは、めちゃくちゃありますね。1つの作品はだいたい30分くらいでできるんです。仕事のスケジュールをもらったタイミングで“あ、明日この人おんのやったらお願いしよう”と考えて写真を撮らせてもらうんですけど。

だいたい1人4枚ぐらい撮らせてもらって、その中から1枚選んでタグを考える。写真の中に情報がなければないほどつけやすい。なんの味付けもされてへんという状況のほうがいいんです。

この本の中でいうと、バイキング・小峠さんやあばれる君は白いインナーだけみたいな状態で撮らせてもらっている。それだとストーリーを生みやすいからつけやすい。逆にEXIT・りんたろー。くんは、難しかった。

りんたろー。くんはちょうど出番終わりで、急いで次の仕事に向かうときに「ごめん、1枚だけ撮らせて」と言ってお願いした写真で。そんな経緯だったので、りんたろー。くんはいつもの派手な服のままで撮ったんですよ。そうしたら、もうどこからどう見ても“EXITのりんたろー。くん”にしか見えない。ギャル男、チャラ男の情報が画面からあふれ出ちゃっているわけです。例えるなら、料理としてもうすでに完成しているものに再度、手を加えようとする形なので意外とやりがいがありましたね。

――そんな裏話があるとは! 写真の表情からは何とも言えない哀愁を感じますが、それは何か意図があるんですか?

表情も結局、情報なんですよ。笑顔の写真になっちゃうと喜びのタグしかつけられない。掲載されている芸人さんの写真の表情にシリアスなものが多いのは、そうお願いしていて。シリアスな表情だと、何か企んでいる顔にも見えるし、怒っているようにも、悲しんでいるようにも見える。広がりがあるんです。

だから、僕が撮るときには「笑顔とかじゃなくてクールな顔で」ってリクエストしています。やっぱり芸人さんなので「写真1枚、撮らせて」と言うとすごく笑ってくれる方が多いんですけど、「そういうことじゃないです」とバッサリ切ってます。

――本にするにあたり、こだわった点はどのあたりでしょう?

掲載の並びの順番についてはめっちゃ考えました。紙に打ち出したものをああでもない、こうでもないと、入れ替えながら決めました。

ちなみに、掲載順はおおまかに4ブロックに分かれていて。最初は「ハッシュタグとはなんだろう」というような読者の方にもわかりやすいように、体力のあるメンバーで。2つ目のブロックはいわゆる“(お笑い)第7世代”と言われる人たちを中心に、フレッシュさが感じられる人たち。3つ目のブロックは、ブラックマヨネーズ・小杉さんから始まり、ずん(飯尾、やす)さんで終わるという、重厚感のある濃いメンバーで。最後のブロックは野性爆弾・くっきー!さんや永野さんとか、破天荒な雰囲気で。火薬のにおいのするパンクなメンバーを集めています。

あとは、最初が千鳥・ノブで始まって、最後は千鳥・大悟で終わっているのもこだわったところかもしれません。ノブがいたからこの“#大喜利”が始まったところもあるし、いちばん“いいね!”がついた(約5万)のが大悟のやつだった。そういうのも含めてバランス的に見て、最初と最後は千鳥やなって思っていました。

――掲載メンバーの中で「この人は必見!」というおすすめの方はいますか?

個人的にすごく気に入ってて、ほかの芸人さんからも評判が良かったのが、なかやまきんに君ですね。いつもは筋肉を見せてなんぼのきんに君だけど、グレーのトレーナーを着ていて、きんに君としての情報が一切ない。それがいいんですよ! 表情も何とも言えない顔をしている。最初が「#台湾のスタントマン」から始まり、「#いつの時間もコインランドリーにいる人」まで、全部がズバンと決まってる。僕の中でかなり気に入っている作品なので、めっちゃ見てほしいですね。

芸人の色が感じられるリプライ部分も必見!

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――今回、本にするにあたって、ほとんど書き下ろしたという『画像で一言』も掲載されています。

これはね、ここ数年、フランスにお仕事で行かせてもらっていまして。ルーヴル美術館やオルセー美術館など、かの有名な美術館に(千鳥・)ノブと2人で「とりあえず行こか」と。でも、2人とも美術に対しての知識も全くないですし、絵の良さとか全然わからんなと思ってたんです。それで遊びで彫刻作品に“勝手に一言”をしてノブを笑かそうとしてたのが最初で。そんなんしてたら美術館にある作品が全部お題に見えてきた(笑)。それをInstagramのストーリーに上げてたんです。

でも、本にするにあたり、かなり増やしたので、ここの部分はこの自粛期間でむちゃくちゃ作りましたね。自粛期間中でも、これを家で考えているときはやることが見つかってむちゃくちゃ楽しかった。“家におっても大喜利できるわ”ってすごく助かりました。単純に100個くらいは考えて、その中でこの彫刻は画像が使えないとかで削って……本の中には72個を掲載しています。それだけやったので、この自粛期間中で相当レベルが上がりましたね(笑)。

――ちなみに、ハッシュタグの最後にはだいたい芸人さんを褒める一文が載っていると思いますが、NON STYLE・井上さんの作品ではそれがスルーされており、その点も面白かったです(笑)。

他の人みんなについているのに、それがない。それを誤植と思わせないところが井上のすごいところやと思います。なので、井上のファンは最後の一文をぜひボールペンで書いてほしいなと思います。

あとは、そんな僕からのタグに対しての井上からのリプライ部分も必見と言えます。そこの一文がないことをイジってくるかと思いきや、“こいつ、たぶんこの本、読んでへんな”っていう内容のリプライで。こっちが用意した餌には食いつかない、そこもまた井上の魅力やと思います。

――今、話が出ましたが、各芸人さんからのリプライ部分が加わっているのも今回の本ならではですよね。

そうなんです。みんなそれぞれの色がある返信をくださって。「僕やったらこう」っていうタグをつける人もいれば、「いやいやこんなんじゃないですよ!」と文句を面白く言うてくれる人もいました。でも、コロコロチキチキペッパーズ・ナダルの返信だけは何にも響きませんでした。ぜんぜん意味わからないんですよ。これ、ぜひ自分の目でどれだけ意味不明か確かめてみてほしいです。

――では、今後の“#大喜利”はどうなっていくのでしょうか?

Instagramではこれまでみたいに芸人さんの画像を載せてっていう“#大喜利”を続けていけたらなと思っています。あとは、それを飛び越えて、芸人さんの写真とかなく、川のせせらぎを感じるような写真で“#大喜利”ができたらとも思ってるんです。これで大喜利ができたらもう最強……お題いらないですからね。たき火の写真とか、飛行機雲の写真で10個タグをつけられたらもう本物やと思うので。そのレベルまで行きたいです!

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

大喜利は芸人のものだとも思っていないので。僕のInstagramにも「僕の答えはこうです」っていうようなリプライが1,000件ぐらい来るんですよ。おもろいなと思ったものには僕がいいねして、それがすごく良い環境やなと。この本を読んで“私もやってみたい”と“#大喜利”をやってくれる人が1人でもいたら嬉しいなと思います。