伊勢原の老舗温泉旅館経営 「天野屋」が破産手続き 新型コロナで再生ならず

 帝国データバンク横浜支店によると、伊勢原温泉ニュー天野屋を運営する「天野屋」(神奈川県伊勢原市西富岡)が8日、横浜地裁小田原支部から破産手続き開始決定を受けた。負債額は7億5千万円。

 同社は、1940年に創業した老舗の温泉旅館経営業者。本館と新館の2棟あり、ピーク時には団体宿泊客や大山観光などの日帰り入浴客でにぎわっていたが、近年は施設の老朽化が進んで宿泊客が減少していたという。

 2019年5月期の売上高は約8500万円。赤字決算で債務超過額が拡大、資金繰りも厳しく、19年10月に民事再生法の適用を申請した。同年11月に再生手続き開始決定を受け、今年1月にインバウンド(訪日外国人客)需要を軸とした再生計画案を提出したが、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、4月に再生手続き廃止決定を受けていた。

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