コロナで一変 繁華街・権堂の長い夜 居酒屋若女将「常連客のために…」 カラオケスナック店主…昼は警備員の仕事も

特集は長野市の繁華街・権堂の夜です。休業の店が多い中、要請が全面的に解除された22日金曜の夜に、明かりをともしていた居酒屋とスナックを取材しました。不安はあるものの、店主たちは前を向いています。

「酔祭美酒 あつ美」 若女将・滝沢あゆみさん(長野市)

3年前にオープンした居酒屋「酔祭美酒 あつ美」。オーナーは別にいて、この道に入って6年の若女将・滝沢あゆみさんが切り盛りします。

権堂では、アーケードの飲食店で感染者が出てから多くの店が自主休業に。接待を伴う飲食店などの休業要請が解除された先週の金曜の夜も、まだ多くが閉まったままでした。

「あつ美」も先月13日から今月9日まで休業しました。15日から深夜0時までの通常営業を再開して1週間。客足は戻っておらず、売り上げは以前の1割程度です。

酔祭美酒 あつ美 若女将・滝沢あゆみさん:
「今、オンライン飲み会がはやっているので、飲みに出る習慣がなくなったら今後、不安」

カウンターのビニールシートはハンガーや画鋲を使って4月初めに手作りで設置。

酔祭美酒 あつ美 若女将・滝沢あゆみさん:
「急きょ付けたということなので、すごい手作り感があるんですけど、隣のお客さんと“3密”にならないように、安全・安心して話せるように作りました」

声が聞きにくいのが難点ですが、常連客は理解してくれているそうです。

常連客:
「お互い安心してできるかなと思います。今まで自粛でストレスもたまっていた、ストレスの解消にはいい」

酔祭美酒 あつ美 若女将・滝沢あゆみさん:
「常連さんの力が強いと思います。料理とかおいしいって言ってもらえると、すごいうれしいし、お酒も少しずつ覚えられて、料理もこういう風にやってみたらおいしいよと教えてもらえるので、やりがいのある仕事」

金曜の夜、6時ごろまでに3組7人が訪れました。若女将の滝沢さんも一安心です。

権堂、22日金曜日夜9時すぎ…。

ビルの一階から人通りの少ない路地に歌声が聞こえてきます。

「サンジェルマン騎士」。男性客と昭和の名曲を歌う店主の吉村幸一さん(58)。オープンして40年以上になる店はいわゆる「カラオケスナック」。この日の夜がおよそ1ヵ月ぶりの営業でした。

サンジェルマン騎士 店主・吉村幸一さん:
「長年、この仕事をやってきたので、一日もはやくやりたいのが本音」

カラオケ好きのシニアなどに愛されてきましたが、新型コロナの影響で2月、3月の売り上げは半分ほどに。4月にいたっては営業した19日間のうち12日は売上なしでした。

サンジェルマン騎士 店主・吉村幸一さん:
「歓送迎会やお花見の時期と重なって、2次会3次会で使われるカラオケスナックは影響がくる。こんなこと今まで経験がない」

先月20日から自主休業に入った吉村さん。生活費の確保と店を守るため、新たに警備員の仕事を始めました。

サンジェルマン騎士 店主・吉村幸一さん:
「太陽の光が強いのでしっかり焼けた、日焼け止め付ければよかった」

営業再開にあたっては、アルコール消毒の徹底や営業時間を短縮するなどの対策をとっています。

お客さんと乾杯:
「いただきます」

サンジェルマン騎士 店主・吉村幸一さん:
「おいしいですね。特に昼間の仕事の後のビールは味が違う、グーです」

店を守るため、新たな仕事も始めた吉村さん。不安もあるといいますが、この先もカウンターに立ち続けます。

サンジェルマン騎士 店主・吉村幸一さん:
「生活はもちろん、この仕事が好きだからこそできる。ひとまず頑張っていこうと思います」

一方、居酒屋の「あつ美」は…。

夜が更けてきましたが6時以降、新たな客の来店はありませんでした。県から支払われる休業協力金30万円については、既に申請済みだそうです。

酔祭美酒 あつ美 若女将・滝沢あゆみさん:
「家賃とか返済もあるので、店を開けてなくても冷蔵庫の電気代とかかかってしまうので(30万円では)、ちょっと足りないかな」

かつてないほど静かな夜の街・権堂。感染リスクが伴う限り当面、苦しい状況が続きそうですが、若女将は前向きです。

酔祭美酒 あつ美 若女将・滝沢あゆみさん:
「久しぶりに会うお客さんの顔見るだけで、うれしいし元気だと思う。いっぱい、にぎやかな(店に)戻ってもらいたい。(Q.この街はどうですか?)権堂は好きですね、いろんな人いて。いろんな出会いあって、すごい楽しい」

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