これも「銀河」。1億5000万光年の空洞で輝く孤独な星々

矮小不規則銀河「KK 246」(Credit: ESA/Hubble & NASA, E. Shaya, L. Rizzi, B. Tully, et al.)

■今日の天体画像:矮小不規則銀河KK 246(またはESO 461-036)

銀河と聞くと「アンドロメダ銀河」のような渦巻腕を持った渦巻銀河棒渦巻銀河、それに超大質量ブラックホールが直接撮影された「M87」のような楕円銀河を思い浮かべる人が多いかもしれません。ですが、ここに写っている形の定まらない星の集まりのような天体も「銀河」と呼ばれています。

「KK 246」または「ESO 461-036」と呼ばれるこの天体は、「いて座」の方向にある矮小不規則銀河。分類名が示すように渦巻銀河のような規則的な姿はしておらず、バルジのように明確な中心部分を確認することもできません。

地球からはおよそ2500万光年離れているとみられるKK 246は、天の川銀河の隣に広がる「ローカルボイド(Local Void)」に位置するとされています。ローカルボイドは「網」のように分布する数多くの銀河に囲まれた「網目」ともいえる部分で、天体がまばらにしか存在していない空間です。

画像ではKK 246の周囲に幾つかの銀河が見えていますが、これらはすべてローカルボイドの向こう側に存在するものです。ローカルボイドの広さは差し渡し1億5000万光年以上、天の川銀河の直径を10万光年とすればその1500倍以上に達するとみられています。背景へ溶け込んでしまいそうにも見えるKK 246は、他の銀河からも離れた空虚な場所で淡い輝きを放っています。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, E. Shaya, L. Rizzi, B. Tully, et al.
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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