土曜の夜は「ウィークエンダー」エロい再現フィルムに凍りつく茶の間 1984年 5月26日 日本テレビ系ワイドショー「テレビ三面記事 ウィークエンダー」の最終回が放送された日

キル・ビルよりもウィークエンダー、クインシーの「アイアンサイド」

不気味なサイレンの後、♪ パッパラパパッパーという、強烈なホーンセクションが鳴り響くクインシー・ジョーンズの「アイアンサイド」。映画『キル・ビル』でも使われていた曲だが、『キル・ビル』より『ウィークエンダー』を思い出す人も多いのではないだろうか。

土曜夜10時、当時小学生だった私が、茶の間で家族と共によく見ていた番組が、『テレビ三面記事 ウィークエンダー』だ。「アイアンサイド」を流しながら、「新聞によりますと…」といったおなじみのフレーズで、ナレーションが事件のあらましを紹介。続いて喋りの達者なレポーター陣が事件の顛末を詳しく語り、次の事件へバトンタッチという構成になっていた。

私が見ていた時代は、機関銃のように関西弁をまくしたてる桂ざこば(当時は朝丸)がたいていトップバッター。シメは、横山やすしや西川きよしなど、当時のトップ芸人といった流れが多かったように記憶している。取り上げる事件は、下世話なものばかり。紙芝居のように、フリップを次々にめくりながらのレポーターの喋りがおもしろく、我が家の茶の間は爆笑に包まれた。

新聞によりますと… エロい再現フィルムで家族が無言に

だが、番組の中盤をすぎたところで、茶の間の空気は凍る。再現フィルムのせいだ。事件の再現フィルムでは、おっぱいポロリなど、エロを盛り込むのがお約束。さっきまで笑っていた家族の誰もが無言になり、再現フィルムをやり過ごす。すると、ラストを飾るやすしやきよしが登場し、再び茶の間爆笑…といった光景が土曜夜に繰り返されていた。

PTAで子供への悪影響が問題になり、母が「見ちゃだめ!」と言い出したこともあったが、なんやかんやで茶の間『ウィークエンダー』は1~2年続いたように思う。Wikipedia を見ると、番組は視聴率が好調の中、1984年5月26日に終了したとあり、そんなに続いたのかと正直驚いた。あのエログロさはいかにも70年代で、80年代にはそぐわない気がしたからだ。

今も「アイアンサイド」を耳にすると、「新聞によりますと…」のナレーションと共に、茶の間の光景を思い出す。下世話だろうがなんだろうが、『ウィークエンダー』は子供時代のほのぼのとした思い出の一つになっている。

Song Date
Ironside / Quincy Jones
プロデュース:Quincy Jones
発売:1971年10月(アルバム Smackwater Jack に収録)

※2016年4月12日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 平マリアンヌ

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