子どもの頃、家族と一緒に食料品の買い物をしていましたか?

40~50歳代のミドル世代には、子ども時代に家族と一緒に食料品の買い物をした経験がある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。また、その際に思い浮かべる光景は、誰と、どこで買い物をしたときの記憶でしょうか。

当時の経験が大人になってからの健康管理に役立っていると感じている人もいれば、現在の自分と同じくらいの年齢だった親と過ごした懐かしい時間に、郷愁を覚える方もいるかもしれません。

今回は、全国の20歳以上の男女に対し、小学生から高校生くらいまでの子ども時代に、家族と一緒に食料品の買い物をした経験に関してたずねた調査結果についてご紹介します。


子ども時代に、家族と一緒に食料品の買い物をした経験をもつ人は女性に多い

農林水産省が行った調査によると、小学生の頃、家族と一緒に食料品の買い物をした経験があると答えた人の割合は、男性より女性で高くなっています(図1)。

このような傾向は中学生の頃や16歳から18歳の頃に関する回答でもみられ、経験者の割合は女性が男性を15ポイント以上も上回っています。小学生の頃だけでなく、大きくなって以降も、このような経験をもつ人は男性より女性で多い傾向にあることがうかがえます。

__図1:子ども時代に「家では、家族と一緒に食料品の買い物をした」と答えた割合

(回答者全体、性別)__

資料:農林水産省『食育に関する意識調査報告書(令和2年3月)』より作成
注 :設問文は「あなたの小学生の頃(中学生の頃、16歳から18歳の頃)の食生活について伺います。あてはまるものをそれぞれ1つずつ選んでください。選択肢には、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」のほか、「どちらともいえない」「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」「わからない」がある。

年配世代の子ども時代に比べ、20代男女では経験者の割合が高い

これらの結果を性・年代別に比較した結果をみると、年代が若い人では、年配世代に比べ男女とも経験者の割合が高くなっています(図2)。

たとえば、60~70代以上の女性ではいずれの時期も経験者が2~3割弱にとどまるのに対し、20~30代の女性では小学生の頃に関しては7割前後、16歳から18歳の頃に関しては4割弱がこのような経験があると答えています。

選択肢には「どちらともいえない」があること等の理由から解釈には留意が必要ですが、子ども時代に家族と一緒に食料品の買い物をした経験があると答えた人は、年配世代の子ども時代に比べ若い世代で多い傾向にあるということになります。

図2:子ども時代に「家族と一緒に食料品の買い物をした」と答えた人の割合

(性・年代別)

資料・注は図表1に同じ

20代男性の4割強が、中学生時代に家の買い物を手伝った経験ありと回答

一方、男性についてみると経験者の割合はどの年代でも女性より低く、年配者ではどの時期に関しても1~2割弱にとどまっています。しかしながら、小学生の頃や中学生の頃に関しては年代が若いほど経験者の割合がおおむね高く、20代男性では前者が6割強、後者が4割強を占めます。

20代男性の4割超が中学生の頃に家族と一緒に食料品の買い物をした経験があるというのは、自身の思春期と比べ少し高い割合だと感じるミドル世代もいるかもしれません。実際、40~50歳代のミドル世代ではこのような経験をもつ人の割合が2~3割弱にとどまっています。

「買い物」の場、「同行する人」の変化

残念ながら、今回公表された資料からは、どのような特性をもつ若い世代にこうした経験をもつ人が多くみられるのかを知ることはできません。しかしながら、ミドル世代が過ごした子ども時代に比べ、これらの若い男女には思春期以降も家の食料品の買い物に同行して家の買い物を手伝った経験をもつ人が年配世代より増えている可能性があるようです。

年配世代やミドル世代が過ごした時代とは社会環境が大きく変わっているなかで、「家族と一緒に食料品の買い物をした」という設問で回答者が想起する買い物の場や、同行する家族のイメージにも世代による違いがあるのかもしれません。

新型コロナウイルスの影響で、最近では買い物のための外出の頻度や買い物の方法、食料品の販売・提供の仕方等が多様な観点から注目されることが増えています。

若い世代とその家族は常に、年配世代が過ごしてきた時代とは異なる新たな時代を生きています。今後は「買い物をする」という行動や誰かと「一緒に買い物をする」ことのイメージにも、さらなる変化が生じるかもしれません。

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