【詳細解説】立憲の支持率が回復。維新はまたアップ!?政党支持率回復のカギは?2020年5月電話・ネット意識調査

選挙ドットコムでは、5月16日(土)・17日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。
電話調査(JX通信社と共同実施)では1,043件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)では1,000件の有効回答を得ました。

「選挙ドットコムちゃんねる」でもゲストにJX通信社の米重克洋さんをお招きし、今回の調査について解説をしていただきました。
励みになりますので、ぜひチャンネル登録お願いします!

 

自民党がダウン、立憲と維新がアップ。れいわも微増

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)による政党支持率(令和2年4月)

普段支持している政党について質問をしたところ、上記の表の通りの結果となりました。これまでと同じく、電話調査・ネット調査ともに「支持政党がない」という回答の次に「自民党」支持層が多い結果になっています。

4月度の調査と比べると、自民党が支持率を電話調査で0.4ポイント、ネット調査で6.0ポイント減少しました。特にネットでの6.0ポイントの減少は大きな変化と言えます。

立憲民主党は電話調査で3.2ポイント、ネット調査で0.2ポイント増加しています。立憲民主党の支持率増加について、選挙ドットコムちゃんねるにゲスト出演をしたJX通信社の米重氏は「今回のハイブリッド調査までのに『#検察庁法改正に抗議ます』というハッシュタグが注目を集めたりして、立憲民主党へ注目が再び集まった。立憲民主党は党の知名度がもともと高いので、それらが関係して支持率が回復したのではないか」としています。

今回の調査結果でも、日本維新の会の支持率が電話調査とネット調査で共に増加しています

日本維新の会について米重氏は「先月に引き続き大阪府の吉村知事の新型コロナウイルス感染症への取り組みが評価されたと受け取れる。在阪のテレビ局だけでなく、全国放送の報道番組でも大阪が取り上げられており、知名度と評価が上昇したと言える」としています。

その他にも、公明党は電話調査で支持率が1.9ポイント増加しています。公明党について米重氏は「10万円の一律給付が公明党の最後の一押しによって決まったと言われている。1.9ポイントは誤差にしては大きな動きと捉えることができるので、10万円の一律給付が良い影響をしたと受け取れる」としています。

また、電話調査とネット調査の結果を比べたときに、ほとんどの党がネット調査で支持率が低くなっていますが、れいわ新選組とNHKから国民を守る党はネット調査の方が支持率が高くなっています。

内閣支持率は「支持」が減少、「不支持」が増加

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の4月・5月の比較

内閣支持率は「不支持」が「支持」を 約24ポイント程度上回りました。また先月と比較をすると、「支持」が減少し、「不支持」が増加しています。そして、不支持の中では「全く支持しない」が「どちらかと言えば支持しない」を上回っている状態に変化はありませんでした。

これまでの内閣支持率の推移です。選挙ドットコムが昨年11月からハイブリッド調査を開始してから1月頃までは内閣支持率は上昇していましたが、4月・5月と新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、支持が減少し、不支持が増加するという動き方をしています。

ハイブリッド意識調査のネット・電話の比較

ネット調査と電話調査の比較は上の図の通りです。ネット調査では「支持」が16.9%、「どちらとも言えない」が32.6%、「不支持」が50.5%となりました。不支持が50%を超えたことが大きな特徴です。また先月と比べると、「支持」が約4ポイント減少、「不支持」が約3ポイント増加しています。

電話調査では「支持」が32.5%、「どちらとも言えない」が20.4%、「不支持」が47.1%となりました。先月と比べると「支持」が約1ポイント減少、「不支持」が約2ポイント増加しています。

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の年代別比較

年代別にクロス分析は上の図の通りです。「18・19歳」「20代」「80代」はそれぞれ全体の10%にも満たないため参考値となります。

30代~70代で見ると、年代が上がるにつれて「どちらとも言えない」という回答が減少していることが分かりました。年代が上がるにつれて「内閣の支持・不支持」がはっきり分かれる傾向が見て取れます。30代・60代・70代では不支持が50%を超えていることも特徴的です。

これまで30代で不支持が50%を超えたことはありませんでした。今回、不支持が50%を超えたことは、緊急事態宣言の長期化による様々な活動の制限などが影響していると推測しています。

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の支持政党別比較

支持政党別でみると「支持する政党はない」と答えた層では、「不支持」が「支持」を40ポイント以上も上回りました。

与党・自民党の支持層では「支持」が「不支持」を57ポイント以上も上回りました。また、同じく与党の公明党の支持層でも「支持」が「不支持」を15ポイント上回りました。

憲法改正などの政策で自民党と近い日本維新の会の支持層では「不支持」が「支持」を大きく上回りました。そして、その他の野党各党でも「不支持」が「支持」を上回っています。

全体のまとめとして、ゲストの米重氏は「報道各社の調査結果を見ても内閣支持率は先月の段階でほぼ底まで来ている。5月はそれをちょっと掘ったような形になったと言える。緊急事態宣言の一部解除などで経済活動が再開し始めた。経済活動を盛り上げる実効性のある予算をつけるなど、国民に伝わりやすい行動をしていけるかが、今後の支持率に影響してくると考えている」としています。

その他にも様々な調査結果が!

5月のハイブリッド調査では、この他にも「緊急事態宣言の一部解除」、「検察庁法改正案について」、「外出自粛優先か、経済活動が優先か」「次期衆議院議員選挙の比例投票先」などの調査を行っています。これらの調査結果は記事として後日リリースしますので、ぜひご覧ください。

今後も選挙ドットコムでは毎月定例で意識調査を実施し、みなさまにお伝えしていきます。また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでわからなかった全世代の声を集めることができます。ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

 

ネット調査と電話調査の回答者に占める年代別割合について

調査の回答者の年代別の割合は上記のグラフの通りです。ネット調査では、回答者の7割以上を40代以下で占めており、比較的若い年代層の意識を抽出しています。また、電話調査では、回答者の7割以上を50歳以上で占めており、比較的高い年齢層の意識を抽出しています。

参考として昨年の7月に行われた第25回参議院議員通常選挙の投票者に占める年代別の割合も掲載しました。50代以上の投票者が7割近くを占めており、現段階では電話調査の方が投票者に近いサンプリングとなっています。

しかし、電話調査だけでは40代以下のサンプルをなかなか獲得することができません。選挙ドットコムのハイブリッド調査ではネット調査も同時に行うことにより、電話調査だけでは見えてこない若い世代の意識も抽出するように心がけています。

調査概要:調査は令和2年5月16日(土)と17日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,043件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。各数値は小数第2位以下を四捨五入。

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