見事な活躍を見せた各球団の「非殿堂入り選手」たち

メジャーリーグ公式サイトのウィル・レイッチは、殿堂入りしていない選手を対象として、球団ごとに過去40年で見事な活躍を見せた選手を1人ずつ選出する特集記事を公開した。マイク・トラウトやアルバート・プーホルスとは違い、これらの選手がアメリカ野球殿堂に迎えられる可能性は低いものの、ファンにとっては忘れ難い選手ばかりが並んでいる。

アメリカン・リーグ東部地区

オリオールズ:ブレイディ・アンダーソン(1996年)
149試合 打率.297 50本塁打 110打点 21盗塁 OPS1.034
前年16本塁打のリードオフマンが突如として本塁打を量産。76四球&22四球で出塁率.396をマーク。翌年は18本塁打と本来の姿に戻った。

レッドソックス:ジョン・バレンティン(1995年)
135試合 打率.298 27本塁打 102打点 20盗塁 OPS.931
史上唯一の50本塁打&50二塁打を達成したアルバート・ベルやMVPを受賞したモー・ボーンを上回るWAR8.3(Baseball-Reference版)を記録した。

ヤンキース:王建民(2006年)
34試合 19勝6敗1セーブ 防御率3.63 218.0回 76奪三振
シンカー主体の打たせて取るピッチングを展開し、218.0回を投げて奪三振は76個だけだったが、被本塁打もわずか12本に抑えた。

レイズ:フェルナンド・ロドニー(2012年)
76試合 2勝2敗48セーブ 防御率0.60 74.2回 76奪三振
通算防御率4点台(当時)の平凡なリリーバーが新天地レイズで大ブレイク。制球が安定し、74.2回を投げて自責点はわずか5だった。

ブルージェイズ:パット・ヘントゲン(1996年)
35試合 20勝10敗0セーブ 防御率3.22 265.2回 177奪三振
両リーグ最多の10完投&3完封で265.2回を投げ、自己ベストの20勝をマーク。21勝のアンディ・ペティットを抑えてサイ・ヤング賞を受賞した。

アメリカン・リーグ中部地区

ホワイトソックス:カルロス・クエンティン(2008年)
130試合 打率.288 36本塁打 100打点 7盗塁 OPS.965
メジャー3年目、移籍1年目でブレイクを遂げ、シルバースラッガー賞を受賞。故障で最後の26試合を欠場し、惜しくも本塁打王は逃した。

インディアンス:トラビス・ハフナー(2006年)
129試合 打率.308 42本塁打 117打点 0盗塁 OPS1.097
本塁打と打点で自己ベストを更新し、長打率.659とOPS1.097はともにリーグ1位。全盛期は短かったが、リーグを代表する強打者だった。

タイガース:アニバル・サンチェス(2013年)
29試合 14勝8敗0セーブ 防御率2.57 182.0回 202奪三振
自己最多の14勝を挙げ、最優秀防御率のタイトルも獲得。ジャスティン・バーランダーやマックス・シャーザーと強力ローテを形成した。

ロイヤルズ:ホルヘ・ソレアー(2019年)
162試合 打率.265 48本塁打 117打点 3盗塁 OPS.922
2017年マイク・ムスターカス(38本塁打)の記録を更新し、シーズン本塁打の球団記録を樹立。球団史上初の本塁打王となった。

ツインズ:ジョー・メイズ(2001年)
34試合 17勝13敗0セーブ 防御率3.16 233.2回 123奪三振
メジャー3年目にしてブレイクを遂げ、17勝をマークしてオールスター・ゲーム選出。2ケタ勝利は1度きりで、通算48勝に終わった。

アメリカン・リーグ西部地区

アストロズ:モーガン・エンズバーグ(2005年)
150試合 打率.283 36本塁打 101打点 6盗塁 OPS.945
本塁打、打点、OPSの各部門でチームトップの成績を残し、チームのリーグ優勝に大きく貢献。MVP投票では4位にランクインした。

エンゼルス:アンドレルトン・シモンズ(2017年)
158試合 打率.278 14本塁打 69打点 19盗塁 OPS.752
メジャー屈指の遊撃守備のほか、打撃面や走塁面でも活躍し、自己ベストとなるWAR7.8(Baseball-Reference版)をマークした。

アスレチックス:マーカス・セミエン(2019年)
162試合 打率.285 33本塁打 92打点 10盗塁 OPS.892
WAR8.9(Baseball-Reference版)を記録してMVP投票では3位にランクイン。全162試合スタメン出場はメジャー全体で1人だけだった。

マリナーズ:ブレット・ブーン(2001年)
158試合 打率.331 37本塁打 141打点 5盗塁 OPS.950
打撃三部門で自己ベストを大幅に更新する大活躍を見せ、打点王のタイトルを獲得。WAR8.8(Baseball-Reference版)はイチローを上回った。

レンジャーズ:マイク・マイナー(2019年)
32試合 14勝10敗0セーブ 防御率3.59 208.1回 200奪三振
自己最多の14勝を挙げ、自身初のシーズン200奪三振を記録。WAR7.8(Baseball-Reference版)は投手で球団史上最高の数字となった。

ナショナル・リーグ東部地区

ブレーブス:ロニー・スミス(1989年)
134試合 打率.315 21本塁打 79打点 25盗塁 OPS.948
自身唯一の2ケタ本塁打。リーグ1位の出塁率.415を記録し、WAR8.8(Baseball-Reference版)は野手では過去40年間でチーム1位の数字である。

マーリンズ:ジョシュ・ジョンソン(2010年)
28試合 11勝6敗0セーブ 防御率2.30 183.2回 186奪三振
自身3度目の2ケタ勝利を記録し、最優秀防御率のタイトルも獲得。9年間で規定投球回到達は3度だけと故障の多いキャリアを過ごした。

メッツ:ランス・ジョンソン(1996年)
160試合 打率.333 9本塁打 69打点 50盗塁 OPS.841
両リーグ最多の227安打を放ち、これは現在もメッツの球団記録。両リーグ最多の21三塁打、自己最多の50盗塁とスピードも発揮した。

フィリーズ:ジョン・デニー(1983年)
36試合 19勝6敗0セーブ 防御率2.37 242.2回 139奪三振
被本塁打をわずか9本に抑え、自己最多の19勝で最多勝のタイトルを獲得。マリオ・ソトとの争いを制し、サイ・ヤング賞に輝いた。

ナショナルズ:アルフォンゾ・ソリアーノ(2006年)
159試合 打率.277 46本塁打 95打点 41盗塁 OPS.911
16年間のキャリアのうちナショナルズ在籍は1年だけだったが、この年に史上4人目かつ現時点では最後となる「40-40」を達成した。

ナショナル・リーグ中部地区

カブス:デレク・リー(2005年)
158試合 打率.335 46本塁打 107打点 15盗塁 OPS1.080
メジャー9年目のシーズンに自己最高の成績を残し、首位打者のタイトルを獲得。レオン・リーの息子、レロン・リーの甥としても知られる。

レッズ:ダニー・ジャクソン(1988年)
35試合 23勝8敗0セーブ 防御率2.73 260.2回 161奪三振
両リーグ最多の15完投(うち6完封)を記録し、23勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。通算112勝の20%以上をこの年だけで記録した。

ブリュワーズ:ジェロミー・バーニッツ(1998年)
161試合 打率.263 38本塁打 125打点 7盗塁 OPS.838
チームがア・リーグからナ・リーグに移った1年目のシーズンに見事な活躍。160安打、38本塁打、125打点はいずれも自己ベストだった。

パイレーツ:ジョン・スマイリー(1991年)
33試合 20勝8敗0セーブ 防御率3.08 207.2回 129奪三振
キャリア唯一のシーズン20勝をマークし、最多勝のタイトルを獲得。オールスター・ゲームに選出され、サイ・ヤング賞の投票では3位だった。

カージナルス:ジョン・テューダー(1985年)
36試合 21勝8敗0セーブ 防御率1.93 275.0回 169奪三振
両リーグ最多の10完封を含む21勝を挙げ、サイ・ヤング賞の投票で2位にランクイン。先日、カージナルスの球団殿堂入りが決まった。

ナショナル・リーグ西部地区

ダイヤモンドバックス:ルイス・ゴンザレス(2001年)
162試合 打率.325 57本塁打 142打点 1盗塁 OPS1.117
選球眼の優れた中距離打者というイメージから一転、57本塁打を量産。MVP投票ではバリー・ボンズ、サミー・ソーサに次ぐ3位となった。

ロッキーズ:カイル・フリーランド(2018年)
33試合 17勝7敗0セーブ 防御率2.85 202.1回 173奪三振
メジャー2年目にして急成長を遂げ、サイ・ヤング賞の投票で4位にランクイン。「投手として球団史上最高のシーズン」と言われている。

ドジャース:ショーン・グリーン(2001年)
161試合 打率.297 49本塁打 125打点 20盗塁 OPS.970
移籍2年目でともに自己ベストとなる49本塁打、125打点を記録する大活躍。シーズン49本塁打は現在もドジャースの球団記録となっている。

パドレス:チェイス・ヘッドリー(2012年)
161試合 打率.286 31本塁打 115打点 17盗塁 OPS.875
誰もが予想しなかった打撃開眼で打点王のタイトルを獲得。本塁打は前年の4本から急増したが、15本を超えたのはこの年だけだった。

ジャイアンツ:アトリー・ハマカー(1983年)
23試合 10勝9敗0セーブ 防御率2.25 172.1回 127奪三振
両リーグ1位の防御率2.25をマークし、オールスター・ゲームにも選出。ちなみに、娘はヤン・ゴームス(ナショナルズ)の妻である。

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