おうちでかんころ餅作ろう 佐世保の菓子店「草加家」

「自分で作る楽しみを味わいながら、かんころ餅を知ってほしい」と話す高木社長=佐世保市、草加家

 長崎県佐世保市重尾町の菓子店「草加家」(高木龍男社長)は、長崎の伝統菓子「かんころ餅」の材料を詰め合わせた手作りセットを開発した。家庭の調理器具でも昔ながらの味を再現できるように材料を工夫。新型コロナウイルスの感染拡大で家にいる時間が増えている子育て世帯などにも好評という。
 開発のきっかけは客からの要望。特に、子どもの頃に家族がかんころ餅を作っていた思い出を懐かしむ60代前後の客などから、「自分で作りたい」という声が寄せられていた。
 あらかじめ計量したもち米とかんころ、きび粗糖、かたくり粉を詰め合わせ。せいろの代わりに炊飯器でもち米とかんころを蒸すことができるように、かんころは薄くスライスした。蒸し上がったもち米とかんころをボウルとめん棒でつくと、程よく粒が残り、家庭的な食感のかんころ餅に仕上がる。
 開発の過程では、子育て世帯にモニターを依頼。従業員の平間富紀さん(39)は「外出を控えていると家で何かを作りたくなる。お店にはないかんころ餅ができて楽しかった」と笑顔。店の近くに住む小坂井祐美さん(32)は「子どものアレルギーを気にせず作れるのでうれしい」と声を弾ませる。
 農家の高齢化などでかんころの生産量が減少していたことから、高木社長は、かんころ餅作りの文化を残そうと子ども向け冊子の製作など活動を続けてきた。今後はセットを活用し、地域の幼稚園などで体験してもらいたい考え。「自分でお菓子を作る楽しみを味わってもらいながら、かんころ餅について知ってほしい」と呼び掛ける。
 1セット1080円。草加家の店頭で販売中。問い合わせは同店(電0956.38.3808)。

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