居酒屋「見捨てられた」 熊本県の休業要請協力金、対象外に

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入念な新型コロナウイルス対策を取った上で、週末のみの営業を再開した居酒屋。女性店主は「同じ休業なのに、なぜ協力金の対象外なのか」と訴える=人吉市

 「新型コロナウイルスの感染防止に休業という形で協力したのに、なぜ居酒屋は熊本県の休業要請協力金(10万円)の対象外なのか」。人吉市で15席の小さな居酒屋を切り盛りする50代の女性店主は、県の対応への不満を「SNSこちら編集局」に寄せた。1カ月以上の自主休業を経て、ようやく週末のみの営業を再開したばかり。客足は戻らず、先行きは見えない。繁華街に軒を連ねるスナックやバーが協力金の対象となるだけに、「県に見捨てられたような気持ちだ」と訴える。

 居酒屋は、県が新型コロナウイルス特別措置法に基づき4月21日に公表した休業要請施設の対象外。ただ、県は午後8時までの自主的な時短営業を「依頼」した。

 女性が店を開業したのは17年前。女手一つで2人の息子を育てながら、地元客相手にコツコツと続けてきた。

 新型コロナの影響で予約のキャンセルが相次いだ3月の売り上げは16万円と昨年同月に比べほぼ半減。28日に県が外出自粛を要請して以降、さらに客足は遠のき、4月13日から臨時休業した。同月の売り上げは4万円。家賃や光熱費など固定費は約15万円かかる。テークアウトや宅配への切り替えは踏ん切りがつかず、耐えるしかなかった。

 県が5月12日に外出自粛要請を解除し、女性は16日からは週末のみの営業を再開した。客席を半分の7席に減らして間隔を開け、調理場とカウンターの間にはビニールの間仕切りを設けた。それでも初日から2日間の客は5人。「このままでは閉店も考えないといけない」と悩む。

 こうした状況に対し、県商工政策課は「食事をメインに提供する居酒屋は生活に必要な施設と分類し、休業要請の対象外とした。協力金は完全な休業を要請したかどうかを基準にしている」と説明。特措法施行令に基づき、居酒屋は全国的にもほぼ同一の線引きがなされているが、長崎県や茨城県など一部では協力金の対象に含めたところもある。

 ただ、居酒屋への協力金はないものの、熊本県は独自制度として、前年同月比で30~50%未満で売り上げが減った事業者向けの「事業継続支援金」(法人が最大20万円、個人事業主が最大10万円)を創設。50%以上の売り上げ減が条件の国の「持続化給付金」(最大200万円)を補完するためだ。人吉市の女性店主は国の給付金を申請中だ。

 蒲島郁夫知事は20日の定例記者会見で「時短営業した飲食店への協力金の支払いは随分考えたが、県財政を踏まえて見送った。ただ、支援金の創設などさまざまな配慮をした」と理解を求めた。(小山智史、内田裕之)