リカルド&ノリスが豪州SC“バサースト1000”参戦か。 マクラーレンCEOが示唆

 マクラーレンF1のCEOを務めるザック・ブラウンは、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに参戦するWalkinshaw Andretti Unitedでも共同ディレクターとして名を連ねており、2021年からのマクラーレン加入が発表された豪州出身ダニエル・リカルドと、eシリーズでも活躍を演じるランド・ノリスが「将来的にバサースト1000で競演する」可能性を示唆した。

 レッドブル・レーシングを経てルノーに移籍し、F1通算7勝を記録するリカルドは、この世界的パンデミックの状況下でいち早く来季を睨んだ移籍市場で動きを見せ、2021年のマクラーレン入りを発表。ノリスとチームメイトになることが決まっている。

 そのノリスは、ここ数週間でVASCが開催するeスポーツ・シリーズ『Supercars All Stars Eseries』に3週連続でワイルドカード参戦を続けており、2戦目には初優勝を記録するなど、VASCファンに対してもアピールに成功するとともに、自身も「このツーリングカー・シリーズが本当に気に入った」と公言していた。

 そんな状況を受け、自らのスポーツカー・レーシングチームであるUnited Autosportsを通じて、名門Andretti AutosportとともにWalkinshaw Racingに資本参入し、Walkinshaw Andretti United(WAU)としてチーム運営に携わるブラウンは、シリーズ最大の祭典“バサースト1000”に向け『ダニエル・リカルド/ランド・ノリス組』実現のシナリオを思い描いていると明かした。

「そうだね、多分ふたりともそれを是非やりたいと考えているだろうね」と、VASC公式番組『Supercars SideTracked』にてコメントしたブラウン。

「そして私自身は今、その他のF1チーム代表とは少し異なる視点のモータースポーツ観を持っていると思う。なぜなら、ドライバーという人種はデイトナやル・マンなどで自らの力量を試してみるのが本当に好きだからね」と、フェルナンド・アロンソを引き合いにそのメンタリティを指摘した。

「だから私としては、彼らがそのスケジュールにフィットできるかどうかだけを気にすれば良いのだと思う。バサースト1000は、歴史的にF1日本GPとスケジュールがバッティングする傾向にあり(10月第2週が恒例)、私はそこにいることもあれば、そうではないこともあるだろう」

2019年のF1開幕戦開催時には、提携するカストロールのアクティビティで、ケリー・レーシングのニッサン・アルティマを体験した
変則的スケジュールが予想され、まだルノー所属の2020年には厳しくとも、将来的にはリカルド本人も「夢」だと語るバサースト1000参戦が実現しそうだ

■「彼らは私のホールデンをドライブしたがるだろう」とブラウン

 ブラウンは自身のカーコレクションのなかで2011年型のホールデン・コモドアVEを所有しており、ガース・タンダー/ニック・パーカット組でバサースト1000を制したこのマシンを、昨年アロンソにテストさせる予定もあった。

「リカルドもノリスも、彼らがそこで挑戦する姿を是非見てみたいし、状況を見守ろう。確かに彼らは、私のホールデンをドライブしたがるだろうね!」

 WAUは2019年のバサースト1000で、Andretti Autosportのアライアンスを活用してインディカーのエース、アレクサンダー・ロッシ/ジェームス・ヒンチクリフ組のワイルドカード参戦を実現させた経緯もあり、このF1ペア参戦も実現性の高いプランとして期待されている。

 また、3戦にわたって『Supercars All Stars Eseries』にエントリーし9戦1勝、3位表彰台も獲得したノリスは、F1再開に向けた準備を加速するため今週開催のイベント参加を見送る方針を示したが、バーチャル空間でのV8搭載ツーリングカーのドライブは、これまでステアリングを握ってきたどんなマシンとも「明確な違いがある」と振り返った。

「そう、このクルマはちょっとした“ビースト”だね。僕がこれまで慣れ親しんできたドライビング方法とは異なる作法で対処する必要がある」と続けたノリス。

「それが理解できたとき、僕はクルマが望むことに対して少しハードにドライブしすぎていて、オーバープッシュだったことに気づいたんだ。ブレーキング、加速、ハンドリング、そして重い車重に少ないダウンフォース。すべてが違うんだ」

「そのため、本当に穏やかなマナーでドライブしなくてはならない。忍耐強くゆっくりした入力を心がけ、シフトダウンではヒール・アンド・トウでブリッピングを入れる必要もある」

「僕が慣れ親しんでいるモノとは大きく異なるけど、とてもとてもクールなマシンだ。おそらく僕がドライブしたなかでもお気に入りの1台になったよ」

 現地27日(水)に争われる『Supercars All Stars Eseries』第8戦は、当初予定では古典的F1トラックであるイタリアのイモラとブラジル・インテルラゴスを舞台とするプランだったが、インテルラゴスを軸にもう一方の会場はファン投票に委ねられ、2度目のベルギー、スパ・フランコルシャンか、地元オーストラリアの誇るフィリップアイランドでの開催が見込まれている。

現マクラーレンF1所属のランド・ノリスは、eスポーツでも存在感と速さを披露。現実のVASC参戦への意欲も見せた
eシリーズにも参戦したアレクサンダー・ロッシは、バサースト1000の2019年大会にワイルドカード参戦を果たしている

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