【新型コロナ】横浜市、市民向け救命講習6月再開 蘇生法指導法も検討

通常の救命講習で使われる乳幼児の模型

 横浜市消防局は、新型コロナウイルス感染防止のため一時中止していた市民向け救命講習を6月に再開する。感染者への対応で医療機関が逼迫(ひっぱく)する中、市は「申し込みや問い合わせが増えており、市民の救命意識が高まっている」と分析。一方、救命処置が感染リスクを高めることがないよう、心肺蘇生法(CPR)の新たな指導法を検討するとしている。

 市によると、CPRや自動体外式除細動器(AED)の使い方、けがの手当てなど応急処置が習得できる救命講習は、年間約3万人が受講している。しかし、政府の緊急事態宣言を受け、市は5月末までの中止を決定。市民らからは、早期再開を求める声が相次いで寄せられていた。

 再開後は、定員を減らした上で受講当日の体温測定を徹底する。人体模型を使った実習は濃厚接触になる恐れがあるとして、人工呼吸法は座学のみとすることで感染防止体制を整える。

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、突然のけがや病気で心肺停止状態に陥った傷病者への対応が課題になっている。日本臨床救急医学会は、4月にガイドラインを作成。救命処置を第一とする一方、救助者の安全確保にも配慮する必要があるとしている。

 心肺停止状態の成人に対しては、救急隊が到着するまで胸骨圧迫のみのCPRを指導。その際も傷病者の口元をマスクなどで覆うことも考慮するとしている。

 市消防局は「新たな指導マニュアルの導入に向けて、医師らで構成する市メディカルコントロール協議会などで検討していきたい」としている。

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