人生ではじめて『007』初期3作に手を出してみた! 今こそ「なんとなく観てこなかったシリーズ」を完走

UNITED ARTISTS / Allstar Picture Library / Zeta Image

BANGER!!!読者の皆様には、「なんとなく見てこなかった人気シリーズ」というものはないだろうか。シリーズ名はもちろん昔から知っているし、今も新作が公開されているのを見かける。でも「全◯◯作」という途方もない数字を見ると、そのうちまとまった時間がある時に……と棚に戻してしまう。そんな作品群のことだ。そう、アレやアレである。しかし、考えてみてほしい。今こそやってきたのだ。その「まとまった時間」というやつが。

こんな時こそ「なんとなく見てこなかった人気シリーズ」を一気見するチャンス。今でしょ。そして、それは僕にとって『007』シリーズだ!

脳天気でキザで激モテのスパイ? ……最高じゃん!!

英国の秘密諜報部(MI6)の凄腕工作員、“殺しのライセンス”を持つコードネーム:007、ジェームズ・ボンドを主人公にしたスパイ・アクション映画。ボンドを演じる役者を変えながら、すでに24作が公開されている超人気シリーズだが、僕は今まで1作品も見たことがなかった。理由は……なんかバカっぽいからだ!

View this post on Instagram

Today is Sir Sean Connery’s birthday! Sir Sean played James Bond in six official 007 films starting with DR. NO in 1962. Leave your best wishes below… #SeanConnery #JamesBond #007

A post shared by James Bond 007 (@007) on

ジェームズ・ボンドという人は妙に女性にモテまくり、秘密兵器が搭載された車をブイブイ乗り回し、ことあるごとにマティーニをシェイクして飲んでいるそうだ。おいおい、僕ももう大人だよ。いくらなんでもそんな能天気でキザなスパイを応援できるだろうか……。しかも、敵はただの人間なのだろう? 怪人や怪物ならともかく、激モテのスパイが一般人を蹴散らすだけの映画なんて、面白いんだろうか?

View this post on Instagram

Why not celebrate #WorldCocktailDay by mixing up your own home version of 007’s favourite tipple…

A post shared by James Bond 007 (@007) on

そんな先入観でどうしても食指が伸びなかった『007』シリーズだが、配信サイトでふと目に止まった第1作『007/ドクター・ノオ』(1962年)を見て、僕は考えをあらためた。あれ? これ……バカっぽくて最高じゃん……!

ボンド、モテまくりの第1作『007/ドクター・ノオ』

なんと、ジェームズ・ボンドは想像以上に女にモテまくり、想像以上にキザで、想像以上に能天気な映画だったのだ! そして、そんなジェームズ・ボンドが想像以上にかっこよく、その活躍は想像以上に楽しい。敵として登場するドクター・ノオも、両腕が鋼鉄の義手という怪人物で、演じるジョセフ・ワイズマンの役作りも含めて「あなたはギリギリ怪人カテゴリ!」と言いたくなる。“龍の形を模したドラゴン戦車”という味のある戦車が火を吐きながら登場した時は、「うおお!」と唸ってしまった。

ボンドガールたちが美しい 第2作『007/ロシアより愛を込めて』

名作と名高い2作目『007/ロシアより愛をこめて』(1963年)は、シリアスな味付けが加わり、メイン・ボンドガールを演じたダニエラ・ビアンキの美貌も相まって世界中で大ヒットしたのも納得の完成度。

View this post on Instagram

This week our focus has been on Sean Connery. Here he is with Daniela Bianchi (Tatiana Romanova) while shooting FROM RUSSIA WITH LOVE (1963), his second film as 007. #BTS #JamesBond #007 #SeanConnery

A post shared by James Bond 007 (@007) on

世界観が確立された本作は、入門編にも良さそうだ。ボンドがヘリコプターや殺し屋(怪人度はやや薄め)を相手に繰り広げるアクションもスケールアップ。

View this post on Instagram

It’s Bond vs. Spectre No. 3 Rosa Klebb at the climax of FROM RUSSIA WITH LOVE (1963). In early drafts, 007 deflected her kick so she stabs her poison-tipped blade into her own ankle, leading Bond to quip “She’s had her kicks.” #007 #JamesBond

A post shared by James Bond 007 (@007) on

ちなみに端役のボンドガールたちが、本当にちょろっと出てきてボンドをモテさせたら、そのまま物語に絡まず次々いなくなるという雑な扱いには驚いた(時代を感じさせる部分である)。

きたーー! ついに秘密兵器満載のボンドカーが登場!! 第3作『007/ゴールドフィンガー』

3作目『007/ゴールドフィンガー』(1964年)も、シビれるほどかっこいいオープニングから、美女が金粉まみれで皮膚呼吸できず窒息死するというインパクト絶大の導入部でつかみはOK。

View this post on Instagram

Shirley Eaton (Jill Masterson) has her gold body paint applied by Make-Up Artist Paul Rabiger on the set of GOLDFINGER (1964) #BTS

A post shared by James Bond 007 (@007) on

また、敵役となるゴールドフィンガーのガードマン、オッドジョブはゴルフボールを握りつぶすほどの怪力を持つ小柄な東洋人で、刃物を仕込んだシルクハットを投げて攻撃するという怪人っぷり。

View this post on Instagram

Hats off to a new week…

A post shared by James Bond 007 (@007) on

そして本作では、いよいよ秘密兵器満載のボンドカーが登場するのだが、「んなアホな」と思っていたはずのボンドカーに「きたーー!」と喝采をあげてしまった。

View this post on Instagram

Bond’s Aston Martin DB5 comes with some hidden extras in GOLDFINGER (1964).

A post shared by James Bond 007 (@007) on

細かいことはいい!『007』はグルーヴだ!!

わかってきたぞ。細かいことはいい、『007』はグルーヴだ。もちろんノリだけではなく、“殺しのライセンス”を持つ00(ダブルオーナンバー)やM、Qらを擁するMI6の設定や、冷酷な犯罪組織スペクターの存在はセンスに溢れているし、後年の作品に与えた影響の大きさも痛感させる。また、映画黄金期のヒット作だけあってアクションやセット、ロケーションも目を見張るほどの素晴らしさだ。誰もがスクリーンの向こうに憧れを抱いていた時代の、まさに娯楽作の決定版と言ったところか。

View this post on Instagram

Today in 1963, FROM RUSSIA WITH LOVE started shooting. Bond creator Ian Fleming visited the film on location in Turkey. Here he’s chatting to Sean Connery (James Bond) and co-producer Harry Saltzman. #FromRussiaWithLove #JamesBond

A post shared by James Bond 007 (@007) on

すっかり『007』ワールドに入門した僕は、ダニエル・クレイグ版の最新シリーズも全作鑑賞した。こちらは、軽妙洒脱で余裕たっぷりなショーン・コネリーの初代ボンドに対して、現代版にアップデートされたクールで影のあるジェームズ・ボンドが見られる。この最新シリーズから見始めるのも、非常に入りやすいのではないかと思う。

そんなわけで、皆様もこの機会に「なんとなく見てこなかった人気シリーズ」に触れてみてはいかがだろうか。それでは、4作目『サンダーボール作戦』を観ます。

文:タカハシヒョウリ

【特集:007の世界】

『007/ドクター・ノオ』『007/ロシアより愛を込めて』『007/ゴールドフィンガー』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年6月より放送

© ディスカバリー・ジャパン株式会社