ナナコ売り上げ「水増し」 セブン本部社員指示か 横浜

セブン&アイ・ホールディングスの電子マネー「nanaco(ナナコ)」のカードとガイドブック

 セブン─イレブン・ジャパンで店舗指導を担当する本部社員が、横浜市内の店舗のオーナーや店長に指示して電子マネー「nanaco(ナナコ)」の売り上げを架空計上していたと、市内の男性店長が27日までに証言した。販売実績を多く見せかけることが目的で、店長は「ナナコの販売実績は株主にとっても貴重な判断材料。架空計上することは消費者や社会に対しての重大な裏切り行為につながる」と話している。

 店長は今年2月、店舗指導を担当する本部社員の指示に従い、店舗の金庫から抜き出した現金3千円を使い、レジでナナコカード(1枚300円)を10枚発行。2月は新規入会キャンペーン中だったため、発行時にカード1枚につき200円分のポイント、10枚で計2千円分のポイントが付与された。

 1カ月後の3月、店長は再び本部社員の指示を受け、カード発行時に付与された2千ポイントを使って非課税商品の収入印紙を2千円分購入した。商品を返品する場合、ポイントで買った商品は現金で返金されることから、その後レジで返品登録を行い、「返金」された現金2千円を金庫に戻した。

 原資となった金庫の3千円と「返金」された2千円分との差額千円分については、本部社員が自腹で店側に支払った。一連の仕組みは全て本部社員が考案し、店での作業は電話で指示を受けた店長が行ったという。

 店長は「本部社員から『周辺の複数店舗でも同様の手口を共有してやっている』と言われた」と話し、ナナコの売り上げを架空計上するよう促されたと証言。「セブン本部は加盟店への指導教育権と契約解除権を保有している。加盟店側は本部や本部社員の指示に対して怖くて逆らえず、従うことを余儀なくさせられている」と明かす。

 店長は「販売実績を高く見せかけるためだけに加盟店を巻き込んで、このような行為をさせることは明らかに一線を越えている」とも述べ、再び、本部社員から同様の架空計上を指示された際は拒否したという。

 労働事件などに詳しいブラック企業被害対策弁護団の明石順平弁護士は「事実だとすれば、本部社員は不正に業績を水増ししており、懲戒処分に値する」と話した。

 セブン─イレブン・ジャパンを傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスは神奈川新聞の取材に対して「現在、調査している」とコメントした。

 セブン─イレブン・ジャパンでは昨年、複数の本部社員が店舗のオーナー不在時を狙って商品を無断で発注していたことが明らかになり、懲戒処分となっていた。

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