フジテレビ『テラスハウス』制作サイドは木村花さんのSNS炎上を知っていたはず

写真はイメージです。

『テラスハウス』(フジテレビ制作)が放送中止になりました。すぐに28日の『とくダネ!』でこの番組内で起きた女子プロレスラー木村花さんの悲劇について、メインMC小倉智昭さんが語りました。すなわち、

・「テラスハウス」のファンだった
・木村花さんが大事なコスチュームを洗濯されて怒った
・その怒り方が女子プロレスラーそのもので、そこだけ見た人が誹謗した

という主旨でした。

なぜ「テラスハウス」が中止になったのか、というテーマから逸らした話題を喋ります。まず、小倉さん。木村さんの怒り方は、いわゆる一般の女性が怒る普通の状態でした。

女子プロレスラーの怒り方ではありませんでした。リング上で怒る時は当たり前ですけど、「魅せるため」のものです。観客を湧かせるためのものです。

プロとしての怒りです。ガチではないです。「テラスハウス」での木村さんはガチの怒りでした。「女子プロレスラーとしても好き」という小倉さんは、女子プロレスラーに実は偏見を持っていませんか。というか、観戦した事ありますか? 一回や二回、三回ではなく。

それからネットの誹謗中傷に流れを持っていきますが、コメンテーター古市憲寿氏がテーマを戻します。「番組側の演出もあったのでは(それが木村さんへの誹謗中朝につながったのでは)」。番組側は公式サイトで当初、二行の謝罪文を出した事に対し「あれだけでは良くない」との旨の発言。政治学者・三浦瑠麗氏は「番組側の責任もあるのでは。木村さんがどのように映るのか分かっていたのでは」という旨の指摘。つまり「演出」の存在。

しかし小倉さんはまたもテーマを戻します、逸らします。

「かつて『テラスハウス』はやらせなのではという議論があった。それを踏まえて改善した。だからやらせはないと信じている」とした上で、ネットの誹謗中傷にテーマを持っていきます。最後は「フジテレビもどうしてこのような事になったのか考えなければ」と無難に終わらせました――。

「テラスハウス」は若い男女の「恋愛リアリティ」を写し出すものだったのか。カメラが入っている限り、「リアリティ」はあり得ません。本当のリアルは極論ですが、「盗撮」になります。

「テラスハウス」の映像のクリアさと言ったら。照明も含めて演出以外の何者でもありません。最近の素人男女(出演者にモデルもいたので演技の練習をしているかも知れません)でもユーチューバーの演技力を見ても分かるように、「演技」が出来る事は想像に難くありません。

「テラスハウス」(というか恋愛リアリティ番組全体)はSNSの役割が大きいです。SNSで盛り上がって、「恋愛リアリティ」番組の視聴率に反映。そこから出演者がSNSに発信しそれを視聴者が見て、盛り上がるという構図です(これはAbemaTVなどの恋愛リアリティ番組にも言える)。

「テラスハウス」制作者は木村花さんの怒った姿を徹底的に放送しました。「炎上するかも」「ちょっとヤバいな」と思わなかったのでしょうか。
多分恋愛「リアリティ」という麻薬に毒されていたのでしょう。そしてSNSでの木村さんの炎上は、これはもう「絶対」と言う言葉を使っても良いと思いますが、知っていたはずです。

これをスルーしていた番組側は「番組再開後、盛り上がる」と思ったのかどうかは推測の域を出ません。

ともあれ、公式サイトでは、

「この度、番組に出演されていた、木村花さんがご逝去された事について、改めてお悔やみ申し上げます。またご遺族の方々にも深く哀悼の意を表します。

尚、『TERRACE HOUSE TOKYO: 2019-2020』に関しましては、今後の収録及び放送、FODでの配信を中止する事を決定致しました。

この度のことを重く受け止め、今後も真摯に対応して参りたいと考えております。

株式会社フジテレビジョン
株式会社イースト・エンタテインメント」

この簡単な声明と放送中止で、責任をネットの誹謗中傷のみ(もちろんネットの誹謗が一番悪い)で、終息させようとしているのでしょうか。(文◎編集部)

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