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コロナで夜の世界はどう変わったのか。新宿歌舞伎町にあるラブホテルで清掃員をしている夏井さん(40代、仮名)に話を聞いた。彼はこの仕事を始めて5年ほどになるという。
――コロナでの異変はいつ感じましたか?
「桜の季節はラブホテルが一年でもっとも混むんです。満室になって掃除スタッフ全員でフル稼働してなんとか終わらせられるなんていうことも珍しくない。でも今年は違いました。3月下旬になってもとんと人が来なかったんです。来るのはデリヘルの客ぐらいでしたね」
――4月7日に緊急事態宣言がなされた後はどうですか?
「もろに影響がありました。6時間で6部屋。二人一組で掃除をするので一部屋15分で掃除して45分休むペースにまで客が減ったんです」
――しばらく仕事が出来ないってことでがっかりって感じですか?
「いいえ。むしろ逆です。先行きを楽観視していましたね。他国同様にロックダウンしたとしてもラブホは営業するだろうって。それどころか欲求のはけ口として、デリヘルを利用するだろうから、ラブホのむしろ客足はのびるんじゃないかって」
ところがだ。夏井さんの予想は外れた。9日に出勤すると緊急事態宣言の効果はてきめんだった。
頼みの綱であるデリヘルが自粛に追い込まれてしまい、客はほぼ皆無となった。そうなると休業の決断は早かった。
「4/11土曜の夕方に携帯が店から電話がかかってきて、『自宅待機してくれますか』って。従うしかないですよね」
――ではその後、ラブホは再開したんですか?
「5月に入ってから、店から電話がかかってきたんです。『次の火曜日なんですけど夏井さん入れますか』って。家でゴロゴロしてふてくされていたんで、うれしかったですよ。そしたら、お客さんが全然来ないんで、ペアじゃなくて一人でやってって」
――じゃあ暇だったんですか?
「そう思ってました。6時間の勤務中、一部屋も掃除しないということもあるかもと思って、本を持っていきました」
――それで実際の勤務はどうだったんですか?
「1カ月ぶりの出勤だったんですけど、激務でした」
――えっ! どういうことですか?
「酒盛りをした後の部屋とか、そんな汚部屋ばかりでした。ひどい部屋なんて使用済みのコンドームがメニューの上に置いてあって。ゴミ箱が使われてなかったんです。しかもベッドとお風呂、フル回転でヘトヘトでした」
――勤務が終わってほっとした感じですか?
「それより気になったのは、泥酔してる若者だらけだったことが気になりました。先の見えない自粛に疲れている人が増えているのかなあって思いましたね」(文◎西牟田靖)