中古マンションで気になる築年数・修繕履歴・断熱、購入のカギは「築20年」

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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの企業がテレワーク(在宅勤務)を取り入れています。自宅で仕事をするようになって、改めて「住まい」について考えた人も多いのではないでしょうか。

「職場まで歩いていけるマンションに住みたい」「子どもとの散歩に適した緑の多い環境に住みたい」など、住まいに求める価値観は人それぞれ。新築にこだわらず、中古物件を視野に入れ始めたという人もいるでしょう。

そこで、中古マンションを見極めるコツを、LIFULL HOME'S総研所長の島原万丈さんに4回にわたって伺います。

第2回は「中古マンションを買う際にチェックしておきたい3つのポイントについて」です。


「1983年築のマンション」と「2020年の新築マンション」の強度は同じ

第1回では「中古マンションを視野に入れると家選びの幅がぐっと広がる」という話をしました。では、実際に中古マンションを探す際、どんな点に注意して探したら良いのでしょうか。

まず最初にチェックしたいのは築年数。ただし、「築年数が古い物件は避けたほうがいい」というわけではないようです。

「古さよりも『耐震基準』について考えて」と島原さんは話します。耐震基準というのは建築基準法で定められた、その建物が最低限の耐震性能を持っているという証明です。1950年に施行された法律で、1971年と1981年に改正されました。

「現在適用されている新耐震基準は1981年6月に改正されたもの。つまり、1981年6月に確認申請が出て1882〜3年に完成したマンションと、2020年に建てられた新築マンションの強度は変わらないと言えます」(島原さん)

では、1982年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは、強度の面を考えると避けるべきなのでしょうか。

「新耐震基準のマンションに比べると、大地震が起こった場合に建物が損壊する可能性はあります。命に別状はなくても修繕にお金がかかることがあるので、そのリスクは負いたくないという人は避けたほうが無難です。とはいえ、地震の揺れの大きさは地盤にもよりますし、旧耐震基準のマンションでも耐震性能が証明されたものや耐震補強済みという物件もあります」(島原さん)

2000年以前の物件は「給排水管の部品」に注意

次にチェックしたいのが修繕履歴。「リノベ済みとして売られている物件の多くは、風呂やキッチンの取り替え、床材や壁紙の張替えなど表層部分を直しているものがほとんど」と島原さん。「水回りを直すのはお金がかかります。そのため、築10年程度の物件はトイレだけ交換して風呂やキッチンはそのままということも」(島原さん)

ぱっと見はきれいでも、気になるのは見えないところ。島原さんは「築20年以上経ったマンションで気になるのは給排水管」と指摘します。

1975年頃までマンションに使われていた給排水管は、鋼(はがね)に亜鉛メッキを施しただけのもの。20年程度で内部が腐食してしまうこと多く、漏水や赤水(サビによって赤く着色した水)の原因になっていました。「現在は樹脂製などの耐久性が高くてサビに強い給排水管が使われています。ただし、2000年以前に建てられたマンションでは管と管を留める部品に錆びやすい素材が用いられていることもあります」(島原さん)

2000年以前のマンションは「断熱なし」と考えたほうがいい

また、気密性の高いマンションにおいて、暑さや寒さへの対策として気になるのが断熱性能。「2000年以前に建てられたマンションは断熱性はあまり高くないと思ったほうがいい。さらに、1980年以前であれば全く断熱材が使われていない物件もある」と島原さん。なぜなら、その頃の建築において「断熱」という考え方がなかったから。「2000年の4月に住宅の性能を分かりやすく表示する『住宅性能表示制度』が施行され、大手建設会社を中心に断熱性能にも力を入れるようになった」と島原さんは説明します。

「ここ20年ほどはウレタンフォームを直接壁に吹き付ける施工が一般的。ウレタンフォームの使用量によって断熱性能も変わってくるので、築年数がさほど経っていない物件でも、念のため不動産販売会社に確認したほうがいいでしょう」(島原さん)

しかし、「結露の問題だけでいえば、新築マンションでも起こり得ます」と島原さん。その理由は窓枠。海外では樹脂製の窓枠が主流になっていますが、日本はアルミの窓枠を用いている物件がほとんどのため、冷えやすくて結露も起きやすいというのです。ただ、ここ最近は断熱や結露防止のために複層ガラスを使うマンションも増えています。中古物件を購入後、複層ガラスに取り替えることもできるのでしょうか。

「マンションの窓は共用部。そのため、自分の家の窓だけ性能のいいものに変えようと思っても規約上難しいでしょう。もちろん自分で内窓を入れることは出来ます」(島原さん)

島原さんの話を聞く限り、中古マンション選びは2000年以前とそれ以降とでは気をつけるべき点が変わるようです。部屋の性能面だけを考えると、築20年以上経っているマンションの購入は見送るべきでしょうか。

「そんなことはありません。実はここ数年で建てられたマンションの最高グレードの部屋よりも、築20年の中古マンションを自分でリノベーションしたほうが断熱性能を上げられます。現在の主流であるアルミの複層ガラスよりも、リノベして樹脂製の内窓を設置したほうが断熱性は高くなります。また、マンションの壁をはがして高性能の断熱材を入れることもできます。ただし、性能を上げるということはそれだけ費用がかかると思っていてください」

価格優先で物件を探している人にとって、修繕や断熱工事に予想外の費用がかかるのは避けたいところ。そこで、次回は中古マンション購入前にに検討したい「ホームインスペクション」について解説します。

島原 万丈

株式会社LIFULL/LIFULL HOME'S 総研所長

1989年株式会社リクルート入社。2005年より リクルート住宅総研。2013年3月リクルートを退社、同年7月株式会社ネクスト(現LIFULL)でHOME'S総研(現LIFULL HOME'S総研)所長に就任。他に一般社団法人リノベーション協議会設立発起人、国交省「中古住宅・リフォームトータルプラン」検討委員など。