【決算】日産、最終赤字6712億円 拡大路線から方針転換へ

決算発表する日産自動車の内田誠社長=28日午後(同社提供)

 日産自動車(横浜市西区)が28日発表した2020年3月期連結決算は、最終損益が6712億1600万円の赤字だった。赤字転落はリーマン・ショックの09年3月期以来11年ぶり。赤字額は2000年3月期の6843億円に次ぐ規模となった。同社は同日、世界生産能力を23年度までに20%以上削減し540万台規模にすることなどを柱とする中期経営計画を発表した。拡大路線から方針転換し、市場規模に見合った構造改革に取り組む。

 売上高は前年同期比14.6%減の9兆8788億6600万円、営業損益は404億6900万円の赤字だった。21年3月期の業績予想は、新型コロナウイルスの影響で合理的算出が困難として公表を見送った。

 19年当初から米中貿易摩擦や中国市場の減速、米国市場での販売不振などを受け販売台数が低迷、第4四半期には新型コロナの感染拡大で世界市場全体が低迷した。国内市場は10.3%減、米国が14.3%減、欧州では19.1%減と大きく落ち込んだ。

 世界販売台数が10.6%減となり営業利益を圧迫、販売金融事業の貸倒引当金を営業利益ベースで300億円を計上するなどし、赤字となった。営業損失を計上するのは11年ぶり。

 最終赤字が6千億円規模となったのは、将来的な販売台数が大きく減少する見通しとなり、生産能力が余剰となったため事業用資産(生産拠点など)について減損損失を計上したことによるもの。これにより21年3月期は約700億円程度、減価償却費が削減できるとしている。

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