<金口木舌>言葉をどう使うか

©株式会社琉球新報社

 「一言の言葉で人を殺すことも生かすこともできる」。韓国の女性グループ「KARA」の元メンバーで、歌手のク・ハラさんがSNSに残した言葉だ。ハラさんはネット上の過激な批判にさらされ、昨年11月に命を絶った▼SNSで激しい誹謗(ひぼう)中傷を浴びた女子プロレスラー、木村花さんが23日に死去した。自殺とみられている。出演したテレビ番組で、木村さんが男性出演者に注意した場面が放送されると「消えろ」などの書き込みが殺到した

▼事件を受け、高市早苗総務相は制度改正を検討する意向を示した。ネット上に書き込んだ投稿者の特定を容易にし、悪意のある投稿を抑止するという。時代の変化に合わせた制度の議論は必要だろう

▼ただ政府への批判まで抑え込む方向に向かう懸念もある。湯浅墾道情報セキュリティ大学院大教授は、現行法の不備を指摘しつつ「政治家ら公人への告発や批判は区別して考えるべきだ」と述べている

▼それ以前に民間でできることがある。放送局や番組制作者、SNS管理者は今回の件にどう対応したのか。検証し、今後はさらに毅然(きぜん)とした対応が求められるだろう

▼木村さんの自宅に残されていたメモには、母親らへの感謝の言葉が記されていたという。言葉をどのように使うか。悲劇を繰り返さないために、ネットを使う一人一人が被害者の思いに寄り添う必要がある。