吉村洋文、「維新の会」議員仲間が妬む「総理待望論」

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「維新を中・長期的に率いるリーダーであることは間違いない。衆議院議員の経験もあるし、まだ40代。首相にだって、なれるかもしれない」

そう、“待望論” を語るのは、ある日本維新の会の国会議員だ。期待を寄せている “リーダー” とは、吉村洋文大阪府知事(44)である。新型コロナウイルス対策の舵取りで、大阪府以外からも注目を集めている。

「吉村知事の奮闘が奏功して、日本維新の会の政党支持率が、立憲民主党を上回り、10%を超えた。維新の国会議員からは、『よくやってくれた』と歓迎する声が上がっている」(ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

日本維新の会の中堅国会議員も、「馬場(伸幸)幹事長も連日、吉村さんのツイートをリツイートしている。“吉村人気” を最大限に利用しなくちゃね」と手放しで喜んでいた。

国政が行き詰まると、地方自治体の首長が、“首相候補” に挙げられる。首相となった細川護煕氏(82)、民主党政権時には橋下徹氏(50)、2017年には小池百合子東京都知事(67)が支持を集めたのは、大衆の強いリーダーシップへの期待感からだった。それだけに、吉村氏への注目度は高い。

彼の手腕を、ある公明党の大阪市議会議員はこう称賛する。

「2016年、大阪市が進める市営地下鉄の完全民営化に、自民党が反対していた。自民は、民営化を認める条件として、民営化後も市が新会社に関与することなど、12項目の要望を大阪市側に突きつけた。

吉村さんは、『12のうち11はのむ。だから賛成してほしい』と譲歩してきた。これなら、賛成しないわけにいかない。いつも議会に対して喧嘩腰だった橋下さんにはない、見事な交渉術でしたね」

調整能力の高さに、さぞ「維新の会」関係者からも期待を集めていると思いきや――。

「ある府議が、『あいつばっかり注目されて、ええなあ。ずるいわ』と笑っていましたが、同じ意見をよく聞きます。大阪維新の会の “主力” となっている府議と市議は、吉村氏の当選同期や同世代。表面上応援していても、みんな妬んでいるんです」(政治部記者)

そうした事情もあってか、じつは「維新の会」内部の引き締めが強まっているという。

「府議や市議に対して、『吉村に関する取材には答えるな』というお達しが出ているんです。『必ず揚げ足を取る連中が出てくるから、よけいなことはしゃべるな』と、みな釘を刺されている」(府政担当記者)

しかも、吉村氏にとって “政治の師” である橋下氏との関係にも、影が差しはじめている。大阪市政関係者が明かす。

「コロナをめぐる休業補償の財源について、橋下さんは『府の貯金である財政調整基金を切り崩しても、府が負担すべきだ』と言っていたのに、吉村さんは『国が負担すべき』だと言う。

結局、基金を使う方向にはなりましたが、『意見が異なる場合もあるんだ』と、少し意外に思いましたね」

ある政治評論家も、“違和感” を覚えたという。

「橋下さんが最近テレビで、『俺なんかより、吉村さんのほうがいい』と言っている裏には、『俺のほうが上だ』と思っている橋下さんの嫉妬を感じることがあります。仮想敵を作って政策を推し進める吉村知事の手法は、橋下さん仕込みですから」

一方、「現場を振り回すにもほどがある」と憤るのは、ある大阪府職員だ。

「医療現場の防護服不足に対処するため、府民から雨合羽を募ったときも、現場には、まったく根回しがなかった。府民が窓口に殺到して大混乱ですよ。しかも、対面での受け取りは、“3密” の抑制からも望ましくない。そういうことは、いっさい考えないんです」

大阪市職員も気色ばむ。

「市長時代の話ですが、全国学力テストの成績を上げた教員と下げた教員の間で、ボーナスの額に差をつけると突然ぶち上げた。もちろん、教育委員会など関係各所への根回しはいっさいありません。結局、人事考査の評価で調整することに落ち着きましたが、現場はたまったもんじゃない」

中国の故事で “覇道” とは、力を以って天下を治めることを意味する。強引な政治も厭わない “コロナの英雄” が首相になったら――。空恐ろしさは否めない。

(週刊FLASH 2020年6月9日号)