『新型コロナウイルスへの霊性と統合』並木良和、矢作直樹著 おじさん二人の霊性グータンヌーボ

 驚かないで聞いてください。毎月書評を書いている私レベルの人間にもなると、表紙を見ただけで大体どんな本かわかるようになるんです。

 ご覧ください、この表紙。なかなか独特な、しかし澄んだオーラが漂っているでしょう。こういう本はね、最後に飲むだけで体の中の毒素が消える天然水が紹介されるんです。私には見えます。

 本書はスピリチュアル・カウンセラーであり作家の並木良和先生と医師の矢作直樹先生による啓発書。新型コロナウイルスという今や最も注目を集める題材について、この世界を生きるヒントが、両者による対談形式で展開される。

 「ウイルスとの付き合い方」「人間は寿命までは死なない」「一旦、中国共産党政府と縁を切りましょう」「波動を順調に上げている時こそ、恐怖や不安でドーンと波動を落としてくる」?「あなたは覚醒めている人のいる世界に住みたいですか?それとも違う世界に住みたいですか?」…?

 ウイルスから始まったこの本は、国際政治や歴史、霊性とスピリチュアルの違い、果ては「殺された坂本龍馬は別人」問題に、女性の便秘問題にまで話が広がり、盛り上がり、コロコロ転がっていく。女子会か。おじさん二人のグータンヌーボか。楽しそう過ぎるだろ。読者置いてくな。

 スピリチュアルに関してど素人なので、ちょっと何言ってるかわからない瞬間もあったりしたんだけど、それでもなるほど!と膝を打つ瞬間も多々あった。例えば「コロナウイルスも意識を持っている。故にこのコロナウイルス意識とコミュニケーションを取る事で、活動を、沈静化させることもできる」「ウイルス自体が不安と恐怖に満ちている」「だから、僕たちがウイルスに話しかけてあげること、例えば『不安にならなくていいよ』『怖がらなくていいよ』って、僕たちが平和な気持ちで話しかけてあげることが大切なのです」…。どうですか。私これ、結構すごいなって思っちゃった。

 対新型コロナウイルスの新機軸。話、し、か、け、る!斬新!!君はテトと出会ったときのナウシカか。そういえば「風の谷のナウシカ」、瘴気を発する菌の森に覆われた世界が舞台だったな。

 なお、ウイルスに話しかけるっていうのは「上が言ってきている」ことらしい。誰やねん上って。お二階さんか。ってツッコミたくなる気持ちもなくはないし、ぶっちゃけ根拠もよくわからない。だから傾倒するのではなく、新しい角度からのアイデアをもらったと考えたら、読後感はずいぶん明るい、清々しい気持ちになれるはず。そう、まるで新鮮な水をゴクゴク飲んで、身体中に行き渡らせたときのように。

 ちなみに、心身ともに健やかであるために「もっとも害の少ない食品」について矢作が尋ねるシーンがある。並木はこう答えた。「純粋なお水。できれば湧き水の方がいいですね」。ひい!水!やっぱり紹介されてるうー!巻末じゃなくてまあまあ冒頭だけど!あらやだほんとに表紙でわかっちゃった。まあ毒素が抜けるなんて一言も言ってないけどな。

 第三の瞳が開き、精神世界の扉を開けたアリーの歴史的瞬間に、みなさん立ち会われてしまいましたね。よろしければご一緒にどうでしょうか。

(青林堂1200円+税)=アリー・マントワネット

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