6年目の覚醒なるか? 開幕スタメン候補に急浮上する鷹・栗原陵矢にかかる期待

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:福谷佑介】

28日の紅白戦で2ランを放った栗原がアピール中

プロ野球の開幕が6月19日に決まった。新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期となり、3か月。ついに球音が日本に戻ってくることになりそうだ。

開幕に先立って6月2日からは関東に8球団、関西に4球団が集まって練習試合がスタートする。各球団12試合ほどを戦い、この間に選手は開幕に向けての調整、首脳陣は選手たちをふるいにかけることになる。

練習試合のスタートを前にしてワクワクが止まらない。ついにシーズンが開幕することもあるが、それ以上にワクワクを醸成しているのが、有望な若手たちがどこまで台頭してくるかという点。普段、取材するソフトバンクで若手のアピール合戦が熾烈なのだ。

25日に全体練習を再開させたソフトバンクは28日までに早くも3試合の紅白戦を実施。特に28日の紅白戦では期待の若手たちが軒並み活躍して「若い子たちがよく打って走って良かったと思います」と、工藤公康監督を喜ばせた。

その中でも特に期待値が高いのが栗原陵矢捕手だろう。この日は石川柊太投手から右翼席に2ラン。先日のシート打撃でも一発を放っていた。その打撃力は定評があり、捕手だけでなく、一塁手や外野手などにも挑戦している。正捕手には甲斐拓也がいるが、その打力を生かさないのはもったいない。捕手以外のポジションで起用される可能性は大いにあるだろう。

キューバから出国できないデスパイネ&グラシアルの穴を埋める存在となる?

ソフトバンクはデスパイネとグラシアルのキューバ人コンビが新型コロナウイルスの世界的な広がりの影響で、キューバから出国できずにいる。来日しても2週間の隔離措置が必須となりそうで、開幕には間に合わない見込み。そこの穴を埋める存在として栗原への期待が膨らんできている。

このままの状況で開幕を迎えるとすれば、指名打者にバレンティンが入り、左翼と右翼のポジションが空く可能性が高そうだ。栗原はここをベテランの長谷川勇也や上林誠知、周東佑京らと争うことになる。

上林もまた結果を残している。28日は1番打者として3安打2盗塁と奮闘し、紅白戦3試合全てで安打を打っている。もともとは右翼のレギュラーに最も近い存在とされていた。昨季は手首の骨折の影響で打撃の状態を落としたが、今季にかける思いは人一倍強い。

この日は栗原よりも後輩となる九鬼隆平捕手も2安打1本塁打し、リチャード内野手や三森大貴内野手もヒットを放っている。練習試合となれば、調整が最も重視され、主力選手たちに多く出番が与えられることになるだろう。その状況から突き抜けてくるのは誰か。そんな楽しみが、今のソフトバンクにはある。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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