<せんだい進行形>飲食店「withコロナ」模索 感染防止策の「見える化」や、店と客の共通ルール作成

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飛沫防止用のアクリル板の小窓から試験的にお酌をする参加者=仙台市青葉区の大観楼
当日勤務するスタッフ全員の検温結果を示す店頭のボード=仙台市青葉区の伊達酒場強太朗

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、仙台圏でも飲食店が続々と営業を再開している。ただ、感染のリスクは依然残る。収束まで長期戦が見込まれる「withコロナ」時代。客足を取り戻して売り上げを少しでも回復させようと、感染防止策を巡り飲食業界の模索が続く。(報道部・伊藤恭道)

 JR仙台駅から歩いて5分ほど。KYOTAファクトリー(仙台市青葉区)が運営する「伊達酒場強太朗」は、入り口に店が取り組む感染防止対策の内容を掲示。「見える化」で利用客に安心をPRする。

 「客席を間引くなど『ソーシャルディスタンス』は売り上げに影響するが、安全安心には代えられない」。店主の遠藤弓佳(ゆか)さん(29)が話す。

 スタッフの検温結果表示、個室の使用中止、次亜塩素酸の加湿器噴霧、入り口の常時開放、スタッフとメニューの削減-。加えて、客側にも入店時の消毒を呼び掛け、4人以上の団体は断っている。

 首都圏からのビジネス客も多い同店。小まめな店内消毒を心掛けてきた。遠藤さんは「お客さまへのお願いが増えて心苦しいが、感染の第2波、第3波の襲来に備え、積み重ねた衛生対策を発揮したい」と話す。

 KYOTAファクトリーを含む宮城県内の飲食店などでつくる一般社団法人東北食の力プロジェクト(仙台市)は21日、「飲食店イートイン安全ガイドライン宮城」を発表した。店は開いても、新型コロナ対策は各店とも手探りなのが実情。店と客が取り組む共通ルールを定め、双方の不安を取り除くのが目的だ。

 主な内容は表の通り。マスクの着用、検温、消毒など「必須項目」に続き、団体客の制限、大皿料理の回避、入店時の記帳などを「目標項目」に列挙。非接触型キャッシュレス決済、飲食時以外のマスク着用などは難易度の高い「推奨項目」とした。

 客足回復には価格設定や付加価値といった「攻め」も必要だが、まずは安心して営業し、利用できる「守り」の環境づくりが不可欠。ガイドライン策定委員会の佐々木浩史委員長(58)=スタイルスグループ代表=は「自粛疲れで外食に来たい人もいるはず。安心安全な態勢を取って受け皿になりたい」と話す。

 「人との間隔はできるだけ2メートル」「対面でなく横並びで座る」「料理に集中し、おしゃべりは控えめ」「お酌は避けて」。政府の専門家会議が提言した「新しい生活様式」には、飲食サービスの在り方を問われるような内容が並ぶ。

 日本料理店など約20店で構成する宮城県料理業生活衛生組合は25日、仙台市内で「新しい生活様式」に準じた模擬会食と意見交換会を開いた。食と会話を楽しむという本来の目的に、感染対策をいかに溶け込ませるかが狙いだ。

 会場となった店内では、座席の間隔を確保し、対面や隣席との間には飛沫(ひまつ)防止のアクリル板を設置。対面せず横からの接客を参加者が体験した。

 石巻市の老舗、八幡家の女将阿部紀代子さん(58)は「客の立場でどう感じるか理解できた。日本料理店は社会的距離を確保できるスペースがある」と、業態ならではレイアウトに希望を見いだす。

 他にも「料亭は企業の接待利用が多い。企業に向けて対策をアピールすべきだ」との意見が挙がった。遠藤慎一理事長(53)=大観楼社長=は「各店での成功、失敗事例を共有し、快適に過ごしてもらえる形を考えていく」と話し、今後も検討を重ねる考えという。